第7話 最終列車の行く先

 私は怪談をこよなく愛する者なのですが、昨晩、『きさらぎ駅』という怪談を目にしました。一人の女性が、いつの間にか見知らぬ駅に到着してしまうと言う話ですが、そう言えば私の地元にも電車にまつわる噂があります。

 私の地元は清流がある長閑な場所です。その川と並走するようにローカル線が走っているのですが、一日の利用者数が数人という状況なので本数は朝夕の1本ずつです。私も学生時代、大変お世話になったのですが、朝の電車に乗り遅れてしまうと通学手段を失ってしまうのでかなり神経を使わされました。そんなローカル線にまつわる話です。

 何やら特定の日に最終列車に乗っていると、異世界まで行ってしまい帰って来れなくなるらしいんです。私もその話を友人から聞いたのですが、どうやら噂の域を越えており同じ学校の生徒も数人行方不明になっています。

 確か『きさらぎ駅』の投稿者は無事帰還したと書き込みがありましたが、こちらは帰って来た者はいないと聞きます。そんなある日のことです。行方不明だった隣町の小学生が見つかったんです。遺体となって。それはもう打撲痕、刺し傷と悲惨な状態だったようです。

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空想奇譚 SAhyogo @SA76

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