第6話 通学路にて

 私が利用する通学路の途中に、曰く付きの道があります。何やらそこを通ると幽霊を見てしまうとか。しかし、実際は人気が少なく、有事の際に対応に困ると、学校側が通行禁止にしているらしいんです。そんなことならと私は、気にせず利用することがあるんです。というのも、正規の通学路だと学校まで大分迂回する必要があるのに対して、その道を通れば最短距離で学校まで行けます。なので、遅刻ギリギリに起床してしまった朝は、決まってその道を利用します。幸いなことに、今まで数回利用しましたが、特段変わったことはありませんでした。一つ気がかりなのは、ポツンと設置された公衆電話を、綺麗な女性が利用していたことぐらいです。彼女に目を奪われた私は、通過する最中ずっと眺めています。普通それだけ見られていたら視線だけでもこちらに向けると思うのですが、彼女はまったく私には目も暮れず、受話器を手にしていました。

 そんな話を数日前、友人にしたんです。女性に飢えた友人は、一目見ようとその道を通ったらしいんです。その次の日に、私が「どうだった?」と聞くと言うんです。「彼女、俺に絶対に気があるぜ」と。友人曰く、公衆電話の女性が満面の笑みで手を振っていたらしいんです。

 その日から、友人は学校に来なくなりました。あと、これは余談ですが、他県で身元不明の遺体が発見されたとのことです。

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