第18話 シンディのざまぁ

 魔法学園にパーティ全員で行く事になった。

 呼ばれたのはシンディだけだったが学園に少し興味があったからな。


 学園はレンガ造りという違いはあるが雰囲気が日本の学校だ。


 俺達は校長室に通された。


「首席卒業者のシンディさんに来て頂いて、とってもありがたく思います」

「呼んで頂いて、すみません」


 やって貰いたい授業の説明が終わり、いよいよ本番となった。


「シンディは首席だったんだな」

「試験と論文でトップを取ってすみません」

「そうよ、シンディは頭が良いんだから、もっと自信を持たなきゃ」

「そうや、自信は過剰なぐらいがちょうどええ」


 教室の教壇側のドアを開けシンディが入る。

 俺達は後ろのドアから中に入った。


 授業参観みたいだな。

 たまにすいませんと言う以外はシンディの授業は分かり易かった。


 何事もなく終わるかと思っていたら、髪を縦ロールにしたきつい目つきの女が入ってきて授業に口を挟んだ。


「実技はどうなんでしょう。皆さんも首席卒業の魔法が見たいわよね。そうでしょう」

「見たい」

「私も見たい」


「やりますので、すいませんが、訓練場に移動お願いします」


 自信がなさそうで、自信満々なシンディ。


 訓練場に場を移して授業は再開された。

 300メートルは離れた的に対して、シンディは魔法を放つ。


「ファイヤーアロー」


 丸太ほどの炎の矢が的を直撃して、的は跡形もなく消えた。

 シンディの腕輪が砕けてそして元通りになる。


「嘘よ。悪夢だわ。そんなはずが」


 実はシンディの器用さアップの腕輪はこの保険に入っている。


――――――――――――――――――――

 物品エクストラリペア魔法保険ロング

  品物が壊れると何度もエクストラリペアの魔法がかかります。


  保険料:金貨10枚

  保険タイプ:掛け捨て

  保険対象:物品一つ

  保障期間:一年

  払い戻し:エクストラリペア魔法を何度でも

――――――――――――――――――――


 そして器用さアップの腕輪は、なんと器用+100。

 そりゃ物凄く器用になるって物だ。


 拍手が聞こえた。

 ダンディな男が立っていて拍手をしている。


「素晴らしい、あなたこそこの学園の教授にふさわしい」

「なんですって」

「おや、ステラ先生。担当の授業はどうされたのですか」

「自習にしました。文句があるのならおっしゃって下さい」

「いい機会です。あなた、生徒の評判が最悪です。それだけならまだしも、お金を使い込んでますね」

「なんのことですか。知りません。不愉快です」


 そう言うとステラは立ち去ろうとします。


「警備員。横領の容疑者を捕まえて下さい」


 逮捕に協力してやるか。


 生命リバイブ魔法保険をステラに掛けた。


「シンディ、やっちまえよ。成敗」

「すいません、ファイヤーアロー」


 丸太ほどの炎の矢がステラに直撃。

 ステラはは死に、すっぽんぽんで生き返った。


「えっ、きゃー。見ないで。見ないで」


 警備員が来るまでステラはうずくまっていた。

 ふう、悪を一つ潰したぜ。


「服だけを燃やす魔法とはなんて素晴らしい。なんと言うコントロール」

「すいません」


「私はこの学園で理事をやっています。どうです、教授に就任して頂けませんか?」

「すいません、お断りします。冒険者が楽しいのです。ワクワクが止まりません。それというのも素敵な仲間がいるからです」

「そうですか、残念です。ですが、あなたの為に教授の席を一つ空けて、何時までもお待ちしております」


 夕日をバックにみんなで宿に引き上げる。


「シンディ、良かったのか。教授になっても良かったんだぞ」

「すいません、柄じゃないです。みんなとも別れたくないし」

「うれしい事、ゆうてくれるやん」

「冒険者の醍醐味を一度味わったら、抜け出せないのよね。スカッとそう快、冒険者稼業」

「そうだな。俺も冒険者を辞めたくないな」


 一ヶ月余りに及ぶ、シンディの授業は好評のうちに終わった。

 俺達は魔法学園の街にあるギルドで、お守りと回復の保険を売りまくった。

 帰ったら紹介状を書いてくれたミリーにお礼をしないと。

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