第2話 お隣さん
結婚二か月目、新婚旅行はハワイに行き、お土産はハワイアンキルトの壁掛けだった。 付き合いだして数か月後、初めての旅行は旦那さんの会社の同僚カップルと一緒に行った長野のキャンプ場だった。
キャンプの火元の用意や料理の下ごしらえをきっちりとこなしていく彼を見て、奥さんに良い旦那さんになってくれると思わせたのだから、旦那さんの同僚カップルの手腕もなかなかの物だ。
旦那さんは大手町の食品会社の営業マンで、月給は27万程度。年2回出るボーナスは目標の持家の為にあくせく貯める予定。月に一度の楽しみは、ハウスメーカーの展示場巡りをした後にいく町外れにある小さな鰻屋さんで鰻重を食べること。
ご実家には早期退職した父さんを毎日煙たがっている母さんを遠目に見て笑っている
、夫婦生活を早めに切り上げた五つ上の長女がいる。
奥さんは下町の和菓子屋の三女で、短大卒業後、旦那の会社の入っているビルの、一つ下の階の保険会社に受付として就職。入社後すぐ会社同士のコンパで旦那と知り合い、意気投合。交際半年で結婚。
ごくありきたりな新婚生活に満足できる、活きの良い娘だ。
長女夫婦が家業の和菓子屋を継いでくれたことも合って、夫婦は親の介護を考えずに生活していける事も仲をよくさせている原因なのかもしれない。
今日も帰りの時刻を確認する奥さん、最近旦那の帰りが遅いので、多少不機嫌気味。後輩が増えてきて飲みに行く回数が増えたことと、出世との比例値がともなっていかない事もわかってくれている奥さんだが、
特に昨夜は、夕方届いた宅急便の中身が、行かなかったはずの、同窓会の幹事からの感謝状と空のアルバムだったから、旦那の帰宅後、1時間以上もその事について、探りを入れていた。
旦那さんの言い訳が、悪さをしていない時の嘘は人を傷つけないだったから、僕はほくそ笑んだ。
時間にあせっているのか、若干うざったいのか、今日は必ず早く帰る、なんて適当な捨て台詞と軽いキスを残して、駆け足でエレベーターホールに旦那さんは消えて行った。
お隣の旦那さんが一回のエントランスに付いたころ、黄色の各駅が一台通り過ぎて行った。
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