第24話 エヘッ! 24
「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」
茶店の歌姫おみっちゃんは極度の音痴でデスボイスの持ち主であった。
「このままでは世界が滅んでしまう!」
そう危惧した茶店の女将さんは茶店の看板娘を結成した。
「いいかい! おみっちゃんに歌を歌わすんじゃないよ!」
「おお!」
これが茶店の看板娘結成の由来である。
「ああ! あそこに困っている人がいる! 私の歌を聞かせて元気になってもらいたい! エヘッ!」
通称、エヘ幽霊のおみっちゃんは元は純粋なので困っている人を助けたがる。
「不味い! 世界が滅びるぞ! おみっちゃんを困っている人に近づけるな!」
「おお!」
迅速に困った人を処理することが求められる茶店の看板娘たちであった。
「平和っていいね! イヒッ!」
世界が平和であってこそ銭儲けができる喜びを感じる女将さん。
「ええ~。私たち悪役スタート?」
文句を言う鬼の頭領、酒呑童子。
「仕方がないだろう。私たちは基礎なんだよ。」
理解を示す九尾の妖狐、玉藻の前。
「・・・・・・。」
黙っている方が被害が少ないと知っている鬼神、大嶽丸。
「仕方がない私たちは日本の三大妖怪だからな。」
これに歌で皆殺しにするおみっちゃんを足すと日本の4大妖怪である。
「火鬼。」
酒呑童子は部下を呼ぶ。
「はい。酒呑童子様。」
火鬼が現れる。
「行って人間を困らせてこい。」
「分かりました。行ってきます。」
火鬼は人間を困らせに行く。
「私も負けていられない。火狐。おいで。」
玉藻の前も配下を呼ぶ。
「はい。玉藻の前様。」
火狐が現れる。
「おまえも人間を困らせておいで。」
「はい。お任せください。コン。」
火狐も人間を困らせに行った。
「・・・・・・。」
鬼神に部下っていないんだけどどうしようと困る大嶽丸。
「おまえが困ってどうする?」
「そうだそうだ。部下ぐらいいないのかい?」
酒呑童子と玉藻の前からツッコまれる大嶽丸。
「・・・・・・。」
鬼神なので鬼の神であり、配下は酒呑童子で間違いないだろう。でも日本の大妖怪で同列なので何も言ないえ大嶽丸。
「人間を困らせるか? どうしよう?」
火鬼は考える。
「私たちは火の属性なので火事でいいんじゃないでしょうかね? お江戸大放火とかで。」
火狐は賢かった。
「火を放ちまくろう。」
火鬼と火狐は火をつけて火事を起こす。
「キャアアアアアア! 火事だ!」
「助けて! お母さん!」
困っている人を助けるということは、絶対に不幸になる人がいるということだ。また敵役は火鬼、火狐と雑魚を出さないで赤鬼だけにする。若しくは酒呑童子、玉藻の前、大嶽丸のメジャーな3体だけでもいいのかもしれない。倒されて去り、また登場してくれた方が視聴者の記憶に残る。
「誰かが困っているぞ! 助けに行かなくっちゃ!」
茶店の看板娘の火月は困っている人の悲鳴が聞こえた。既に茶店の歌姫という設定が冒険の足かせになっているのは間違いない。
「大丈夫ですか?」
火事の現場にたどり着いた火月。
「家が燃やされてしまったんです! 犯人はあそこの妖怪です!」
困った人は妖怪の方を指を指す。
「あれは! 鬼!」
妖怪は鬼の姿をしていた。
「なんだ? おまえは。」
酒呑童子は尋ねてくる。
「私は茶店の看板娘の火月。おまえこそ何者だ?」
逆に火月が尋ねてみた。
「ワッハッハー! 我こそは酒呑童子! 鬼の頭領だ! 火鬼たちに火を放たたせたのさ!」
現れたのは酒呑童子。
「なんと酷いことを! やめるんだ! 人々が困っているじゃないか!」
火月は酒呑童子に注意する。
「嫌だね。それに悪いのは私ではない。おまえが悪いのだ!」
言い返す酒呑童子。
「なに!? 私が悪いだと!?」
意味が分からない火月。
「そうだ。おまえの様な正義のヒーローがいるから、困った人々が必要になる。おまえが活躍できるように私たちが悪役として困った人を作ってやっているのだ! そうでなければ、おまえのような正義のヒーローは仕事が無くなり必要ないのだからな! ワッハッハー!」
正に正義と悪役は持ちつ持たれつの関係であった。
「じゃあ、酒呑童子。私たちは仲良くしようよ。そうすれば争いが無くなり、みんな平和に暮らせるよ。」
火月は酒呑童子に和議を申し立てる。
「そうだな。私が越後屋を襲撃し、そこにおまえがやってきて私を追い払う。越後屋から褒美をもらい私とおまえで半分個する。するとみんな幸せだな。ワッハッハー!」
八百長を思いつく酒呑童子。
「そうそう。千両箱なら500両ずつだね・・・・・・なんでやねん!」
一人ボケもできる火月。
「チッ。アホなら騙されると思ったのに。」
悔しがる酒呑童子。
「フッ。私がアホではないと照明できたな。勝負だ! 酒呑童子!」
火月と酒呑童子の戦いが始まる。
「死ぬがいい! 鬼に金棒!」
酒呑童子が金棒を振り回す。
「くらえ! 酒呑童子! これが私の火斬りだ!」
火月は火のついた剣で酒呑童子を攻撃する。
「ギャアアアアアアー! 覚えていろよ!」
酒呑童子は吹き飛ばされ星になって消えた。
「平和っていいな。アハッ!」
勝利を噛み締める火月であった。
つづく。
「リアルタイムもいいな。」
リアルタイムとは時間は経過していくので自身の選択が重要になってくる。
「例えば同じ一日で、スライムを1匹だけ倒した者と、スライムを5匹倒した者と経験値は違う。」
当然、スライム5匹を倒した方が強くなる。
「しかし、スライム1匹だけ倒した者でも破壊の剣を拾っていれば攻撃力は200になり、スライムを5匹倒した者より強くなる。」
ただし呪われますが。
「逆転の発想で、茶店の歌姫を人間が剣術の稽古をして倒す。」
いや~。恐ろしいことを考え着くな。我ながら天才。
「こうすると敵に困らない。」
やってみよう。
「そ、そんな・・・・・・。」
ある日、私が山で芝刈りをして帰ると村が滅ぼされていた。
「大丈夫ですか!?」
私は生きのある村人に声をかけた。
「よ、よ、妖怪の仕業だ。一瞬で、村が壊滅させられた! 妖怪はエヘエヘ笑っていた! ギャアアアアアアー!」
と言い残し村人は息を引き取った。
「父さん! 母さん!」
もちろん私の両親も殺されていた。
「うおおおおおおお! 絶対に許さないぞエヘエヘ妖怪め!」
私は復讐を誓った。
「そうだ。火山の麓に仙人が住むという。そこで修行をして強くなって妖怪を倒そう。みんなの仇を取ってやる。」
私は無力だったので修行するために火山に向かった。
あれから1年。
「助けてくれ! 妖怪が出た!」
逃げてくる村人が妖怪に襲われて助けを求めていた。
「妖怪。」
一人の若者が妖怪が出た村に向かう。
「ガオー!」
妖怪は村を蹂躙していた。
「妖怪は私が倒す!」
若者は刀を抜き剣を構える。
「くらえ! 妖怪! これが私の火斬りだ!」
若者の剣は燃えていた。
「ギャアアアアアアー!」
妖怪は倒された。
「ありがとうございます。あなた様のお名前は?」
助けてもらった村人が感謝する。
「火月。」
火の侍、火月。
「私は絶対に妖怪エヘエヘを倒すんだ! お父さんとお母さんの仇を討つんだ!」
火月は両親の敵討ちに燃えていた。
「いらっしゃいませ! 美味しい! 美味しい! お茶とお団子ですよ!」
おみっちゃんは茶店で看板娘のアルバイトする女の子。
「すいません。お茶とお団子を一人前。」
火月は茶店で休憩をとることにした。
「ありがとうございます。女将さん、お茶とお団子を一人前です。」
真面目に働くおみっちゃん。
「できたよ。お茶とお団子。早く持っていきな。イヒッ!」
女将さんもテキパキと働く普通の茶店である。
「どうぞ。お茶とお団子です。」
おみっちゃんは火月にお茶とお団子を届ける。
「ありがとう。少し尋ねたいんだが、エヘエヘ笑う妖怪の話を聞いたことはないかい?」
火月は尋ねてみた。
「聞きませんね。私は可愛くエヘッ! と笑いますが。」
おみっちゃんは自分のことを可愛く思っている。
「そうか。私は妖怪エヘエヘを追っているんだ。また探すよ。」
ガッカリする火月は情報を得られなかった。
「そうだ! 近くの村で私のコンサートをやるんですが、良かったら来てくださいよ。」
おみっちゃんはコンサートのチラシを見せる。
「おみっちゃんコンサート? 歌手なんですか?」
「いいえ。まだ見習いです。前回のコンサートのお客さんは3名でした。でも私の夢はお江戸で歌姫になることなんです。エヘッ!」
おみっちゃんの夢はお江戸で歌姫になることだった。
「私は火月。近くの村で妖怪の情報を聞き込みしてから行くよ。」
火月はおみっちゃんのコンサートに行くことにした。
「ありがとうございます。約束ですよ。絶対に来てくださいよね。エヘッ!」
おみっちゃんは観客が増えるので喜んだ。
「妖怪エヘエヘ? 知らないな。」
「そうですか。」
火月は憎い妖怪エヘエヘの聞き込みを行っていた。
「酒呑童子が村を襲っているんです。退治してくださいよ。」
「私は妖怪エヘエヘにしか興味はないので。」
火月はこういう奴であった。
「助けてくれ! 隣村で妖怪が出たぞ!」
助けを求める村人が走ってきた。
「どんな妖怪だ?」
火月は村人に尋ねてみた。
「エヘエヘ笑い声が聞こえるんだ! 化け物だ! まともじゃない!」
「エヘエヘ!? 間違いない! 私の村を襲った、あいつだ!」
火月は仇を見つけた。
「待てよ? 隣村といえば、おみっちゃんがコンサートを行う村じゃないか!?」
火月は隣村まで駆けて行った。
「これは!? 酷い!?」
村に着いた火月が見た者は村人皆殺しの悲惨な光景だった。
「おみっちゃん!」
その中でおみっちゃんと2名の村人だけが生き残っていた。
「だ、大丈夫か! おみっちゃん!」
火月はおみっちゃんたちに駆け寄る。
「火月さん!? 私はコンサートをしていて建物の中にいたので、お客さんも大丈夫でした。でもコンサートが終わって外に来てみたら・・・・・・。」
おみっちゃんとお客さんの2名だけは無事だった。
「奴だ。こんなことができるのは妖怪エヘエヘしかいない!」
火月は妖怪エヘエヘの恐ろしさを改めて実感する。
「クソ! 絶対に許さないぞ!」
宿命の敵、妖怪エヘエヘに対し闘志を燃やす火月であった。
「大丈夫ですか? 茶店まで送りますよ。」
「ありがとうございます。エヘッ!」
これが火月とエヘ幽霊の運命的な出会いであった。
つづく。
「完璧!」
ちょっと書けば直ぐに物語ができる。我ながら素晴らしい。このノリで良ければ書き続けられるかもしれない。
「火月とおみっちゃんのラブコメ? ラブロマンス?」
まあ、正体を知ったら親の仇なんですけどね。アハハハハ・・・・・・。
「鈍感で気づかない? アホなカップルということになる。」
今後の作品の展開は?
「普通に氷月が登場。風月、水月、雷月、地月、土月、天月、海月、冥月、毒月、無月、闇月、暗月。」
何でもできますな。アハッ! こいつらはおみっちゃんに関心はないとしておこう。
「火の侍、火月。」
火月は茶店を拠点に妖怪退治をする。妖怪エヘエヘの情報を知るために。
「ええ・・・・・・妖怪エヘエヘ・・・・・・目の前にいるじゃん。」
女将さんは絶句する。
「こいつはアホか?」
火月は困っている人を放ってはおけない情熱バカにしよう。火のイメージ性格にピッタリだ。
「妖怪エヘエヘか。おみっちゃんしかいないだろう。」
女将さんは呆れるしかない。
「なんてめでたいバカップルなんだ。」
やっぱり呆れる女将さん。
「これでイケるな。イヒッ!」
女将さんはラブコメ的ヒットの予感を感じる。
つづく。
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