第7話 エヘッ! 7

「私の名前はおみっちゃん! 夢はお江戸で歌姫になることです!」

 おみっちゃんの夢は歌姫になること。ちなみに歌姫とはアイドルみたいなものである。

「いらっしゃいませ! 美味しい! 美味しい! お茶とお団子ですよ!」

 夢を叶えるために茶店で看板娘のアルバイトをして銭を貯めている。

「実は私、幽霊なんですけど。エヘッ!」

 おみっちゃんはエヘ幽霊である。


「寒い! どうして冬は暑いんだ! このままでは凍えて死んでしまう。」

 おみっちゃんは純粋な心の持ち主。

「何言ってるんだい? あんた幽霊だから寒くないだろうが。それに既に死んでるし。」

 茶店の女将さんがツッコム。

「そうでした。私が可愛いから許してください。エヘッ!」

 おみっちゃんは可愛い幽霊でした。


「イマドキ・チェンジ!」

 恐らく過去の江戸時代設定だった、茶店の歌姫を現代ファンタジーに移行しよう。

「渋い谷にある茶店は、渋谷にある茶店に変更。」

 メイド喫茶か、コスプレ喫茶みたいなものだろう。キャバクラ、ガールズバー、風俗ではない。

「茶店の商品はお茶とお団子。」

 これは不変。

「従業員は女将さん、おみっちゃん。と今回、新しいのが人間を採用すること。」

 他の妖怪たちも茶店で働かせれば、登場キャラクター数の分だけ文字数が稼げるので尺は大助かりなのだが、まずは女将さんとおみっちゃんと人間の3人で物語を回せなくてはいけない。

「一層のこと妖怪という言い方をやめて、言霊とか、人間ではない者とかにした方がいいのかね?」

 妖怪という呼び方が古いのかも知れない。だから今時の一般大衆に受け入れられないのかもしれない。でも鬼滅の刃も敵は鬼だから妖怪を一緒だから、妖怪という言葉に罪はない。


「いらっしゃいませ! 美味しい! 美味しい! お茶とお団子ですよ!」

 おみっちゃんは茶店でアルバイトをしている。

「ありがとうございました。」

 同じくアルバイトの女子高生の奈美恵。

「片付け私も手伝うよ。」

「ありがとう。おみっちゃん。」

 おみっちゃんと奈美恵は仲の良いバイト友達であった。

「はあ・・・・・・。」

 その時、奈美恵がため息をついた。

「どうしたの? 奈美恵ちゃん。」 

 おみっちゃんは尋ねてみた。

「実は期末テストがあるんだけど、成績が下がったらバイトをやめないといけないの。」

 奈美恵の成績は悪かった。

「なんだって!?」

 厨房から女将さんが現れる。

「やめられたら困るよ! ただでさえ外食産業は人手不足なんだからね!」

 女将さんも経営は大変である。

「すいません。女将さん。今日は時間なので、お先に失礼します。」

 奈美恵は帰って行った。

「おみっちゃん、奈美恵ちゃんを助けてやりな。」

 女将さんはおみっちゃんに奈美恵を助けるように言う。

「いいんですか? 普段は人間界のことに関わってはいけないと言っているくせに。」

 普段は人間と距離をとって生活しているらしい。

「いいんだよ。貴重なアルバイトが辞めたら困るだろう。」

 女将さんは世界の理よりもアルバイトの確保を優先する。

「は~い。分かりました。その代わり時給を上げて下さいよ。」

 現金なおみっちゃん。

「仕方がないね。今回は特別だよ。」

 女将さんから臨時ボーナスが出ることになった。

「やったー! ボーナス! ボーナス! わ~い!」

 大喜びのおみっちゃんであった。


「テストの成績か。私はてすとなんか受けたことはないからな。エヘッ!」

 おみっちゃんは幽霊なのでテストなんか受けたことがない。

「まずは奈美恵ちゃんの一日でも覗いてみるか。」

 おみっちゃんは奈美恵ちゃんの家の中にすり抜けて侵入する。

「zzz。」

 奈美恵は寝ていた。

「あちゃ~。寝てるよ。試験勉強をする気は全くないんだね。」

 思わず幽霊も呆れる。

「代わりに私が問題でも解いてみるか。一度はテストをやってみたかったんだよね。エヘッ!」

 人間のテストに憧れていたエヘ幽霊。

「・・・・・・。」

 そして、玉砕した。

「こうなったら最後の手段だ! 学校に忍び込んでテストの解答を奪うしかない!」

 おみっちゃんは奈美恵の学校に侵入することにした。


「真夜中の学校はいいな。私には丁度快適だ。エヘッ!」

 だってエヘ幽霊だもの。

「きっと職員室にあるだろう。」

 おみっちゃんはテストの解答を求めて職員室に行く。

「んん? 誰だ!?」

 しかし先客が職員室にはいた。

「私は魔王妖怪マヨ様の手下の鬼だ。テストの答えは私が頂いた。」

 職員室にいたのは鬼だった。

「そうはいかないわよ! アルバイトがやめてしまったら私の仕事が増えちゃうんだからね!」

 おみっちゃんは奈美恵の成績よりも、アルバイトがやめて自分の仕事が増えることを嫌がった。

「かかってこい! 相手になってやる!」

 ここに鬼対幽霊の戦いが始まった。

「鬼の形相!」

 鬼は気合を入れ妖力を高める。

「エヘッ!」

 おみっちゃんは笑っている。

「なんだ!? この微笑みは!? 何かすごい攻撃を隠し持っているのでは!?」

 鬼はおみっちゃんの不気味な微笑みを警戒した。

(そういえば、私って攻撃用のスキルとかないのよね。ほら、平和を愛してるし。エヘッ!)

 おみっちゃんに攻撃手段はなかった。

「くらえ! 鬼に金棒!」

 鬼は金棒を振り回しておみっちゃんを攻撃してくる。

「ギャアアアアアアー!」

 おみっちゃんは倒されてしまった。

「ワッハッハー! 口ほどにもないわ。」

 鬼は勝利にご満悦だった。

「ワッハッハー! その通り。」

 しかし隣でおみっちゃんが笑っていた。

「なに!? おまえは倒したはず!? なぜ生きている!?」

 鬼はおみっちゃんに驚いた。

「私は幽霊なので、既に死んでます。エヘッ!」

 おみっちゃんはエヘ幽霊。攻撃は全てすり抜ける幽霊スキルのスルーを習得している。

「幽霊!? ギャアアアアアアー! 怖い!」

 鬼は幽霊が苦手だった。

「そんなに怖がらないで下さいよ。私は可愛いんですから。エヘッ!」

 可愛さは気にするエヘ幽霊。

「驚かしたお詫びに私の歌を聞かせてあげましょう。」

 おみっちゃんは大好きな歌を歌うつもりである。

「え? 歌を歌ってくれるの。すまんな。」

 鬼はおみっちゃんの歌を聞く気になった。

「1番! おみっちゃんが歌います! 曲はありがとう! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」

 おみっちゃんは極度の音痴でデスボイスの持ち主であった。

「ギャアアアアアアー! なんだ!? この酷い歌声は!? 耳が腐る!? 脳みそが爆発しそうだ!?」

 鬼はおみっちゃんの歌声に恐怖した。

「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」

 更に歌い続けるおみっちゃん。

「クソッ! 覚えてろよ!」

 鬼はおみっちゃんの歌声に耐え切れずに逃げ去った。

「ご清聴ありがとうございました! ああ~気持ち良かった! エヘッ!」

 歌を歌ってご満悦なエヘ幽霊。

「しまった!? 鬼にテストの答えの書いてある紙を奪われた!?」

 くたびれ儲けの銭失いのおみっちゃんだった。

「ああ・・・・・・これで奈美恵ちゃんはバイトを辞めちゃうのか。また私の仕事が増えるな。ガクン。」

 うなだれるおみっちゃんであった。


「今日もよろしくね。おみっちゃん。」

 茶店のアルバイトに奈美恵がやって来た。

「奈美恵ちゃん!? テストは大丈夫だったの?」

 そう。奈美恵はテストの点数が悪ければ、バイトをやめなければいけなかったはず。

「実は・・・・・・一夜漬けで勉強をがんばってテストの点数が上がったの! アハッ!」

 奈美恵は努力家であった。

「なんじゃそりゃ。私ががんばって鬼と戦ったのは何だったのよ!?」

 無駄足骨のおみっちゃん。

 めでたし、めでたし。


「完全な日常の小話。」

 時代は日常の小話を求めている。スマホがメインだから1分1000字位が求められる。10万字だと100話。更新が大変だ。でも小話の方がお話しらしい。猫型ロボット先輩や顔がパン先輩もこんな内容の繰り返しだもんね。

「敵役は鬼さんで決まり。」

 毎回、敵役を変えるから疲れる。敵役は鬼で固定しよう。

「人間が茶店で働くとなったら、今まで登場した妖怪はどうしよう?」

 そのまま茶店で働かす? それとも茶店から排除?

「人間は戦闘には参加しない。」

 奈美恵は毎回出るのか? 人間は変えるのか?

「これで3500字。それでも1話としては長く感じる。」

 何だかな。幽霊の鎧? 幽霊の巨大ロボット? 幽霊の拳法? 幽霊のピストル? 幽霊の剣士? 幽霊の歌姫?


「茶店で働いてます!」

 それいけ! おみっちゃん!

「どうもゲストの餓鬼のガッキーです。今日は茶店に行ってお茶とお団子を食べたいと思います。」

 ガッキーは茶店に向かう。

「お茶とお団子は私のものだ!」

 そこに意地悪な鬼マンが現れる。

「キャアアアアアアー! 助けて!」

 ガッキーが助けを求める。

「やめろ! 鬼マン!」

 そこにおみっちゃんが現れる。

「出たな! おみっちゃん!」

 おみっちゃんを警戒する鬼マン。

「もう大丈夫だよ。」

 おみっちゃんはガッキーを安心させる。

「ありがとう。おみっちゃん。」

 ガッキーは助けてくれたおみっちゃんに感謝する。

「いくぞ! 鬼マン!」

 おみっちゃんが鬼マンと戦う。

「これでもくらえ! 金棒投げ!」

 鬼マンは金棒を投げた。

「ギャアアアアアアー!」

 おみっちゃんは倒された。

「見たか! 悪は勝つのだ! ワッハッハー!」

 勝ち誇る鬼マン。

「それはどうかな?」

 そこにおみっちゃんが現れる。

「なに!? おみっちゃん!? 倒したはずなのに!?」

 驚く鬼マン。

「私は幽霊で既に死んでいるので、あなたの攻撃は当たりませんよ。エヘッ!」

 おみっちゃんはエヘ幽霊なので物理攻撃は全てすり抜けてダメージを与えることはできない。

「今度は私の番ですよ! 私の歌を聞け!」

 おみっちゃんの反撃が始まる。

「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」

 おみっちゃんは極度の音痴でデスボイスの持ち主であった。

「ギャアアアアアアー! 耳が砕ける! 覚えてろよ! 鬼は外!」

 鬼は去って行った。

「さあ、ガッキー。茶店で美味しいお茶とお団子を食べていってね。」

「ありがとう。おみっちゃん。」

 めでたし、めでたし。


「ひたすら戦いの日常って、こんなものか。」

 なかなかPTAウケはいいかも、それいけ! おみっちゃん!

「書いてて飽きるのは、そのキャラクターの物語に没頭? 心酔していないから?」

 それとも給料が発生しないからか?

「続けられる物語を考えよう。」

 エイエイオー!

 つづく。

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