第6話 エヘッ! 6
「私の名前はおみっちゃん! 夢はお江戸で歌姫になることです!」
おみっちゃんの夢は歌姫になること。ちなみに歌姫とはアイドルみたいなものである。
「いらっしゃいませ! 美味しい! 美味しい! お茶とお団子ですよ!」
夢を叶えるために茶店で看板娘のアルバイトをして銭を貯めている。
「実は私、幽霊なんですけど。エヘッ!」
おみっちゃんはエヘ幽霊である。
「暑い! どうして夏は暑いんだ! このままでは死んでしまう。」
おみっちゃんは純粋な心の持ち主。
「何言ってるんだい? あんた幽霊だから暑くないだろうが。それに既に死んでるし。」
茶店の女将さんがツッコム。
「そうでした。私が可愛いから許してください。エヘッ!」
おみっちゃんは可愛い幽霊でした。
「緊急会議を招集します! エヘッ!」
登場キャラクターを総動員した緊急会議が行われる。
「ザワザワ。」
ガッキーやテンテンたち全員が集められる。
「お題は、このままでは銭にならねえ! です。」
司会は我らがおみっちゃん。
「それでは女将さんから有難いお言葉です。」
ここでボスの女将さんが現れる。
「妖怪。それは過去の遺物であり、現代の流行に合っていない!」
衝撃的な女将さんの妖怪を自己否定するお言葉。
「ガーン!」
会議の参加者たちはショックを受ける。
「私たちってダメな子なんだわ・・・・・・。」
そして気落ちする妖怪たち。
「諦めるな!」
その時、女将さんの一言が群衆を惹きつける。
「諦めなければ絶対に銭になる! 諦めなければ夢は叶うんだ!」
有難い女将さんの一言。
「エイエイオー!」
士気が回復する妖怪たち。
「まずはマーケティングの結果をおみっちゃんから発表してもらおう。」
女将さんはおみっちゃんに妖怪と一般大衆のマーケティングを行わしていた。
「ゲゲゲ先輩でいうと時世に合わせてSNSやスマホを題材にした現代の暴力、いじめ、不景気、横暴、パワハラ、セクハラといった話を絡ませてますが、第6期視聴率は5%。これは竜玉、オシャレ着と一緒。これは打ち切りと言われ続けている海の家族の12%やチビ丸尾くん8%とか迷惑探偵7%には遠く及ばない。」
視聴率が全てではないけど。
「結局、変な時世の変な話より、地球侵略を企む悪者を正義のヒーローが倒すという勧善懲悪のバトルモノの方が安定している。なんだでしょう? バトルモノの方が盛り上がるということでしょうかね。」
夏目などはゲゲゲの1話分の物語でしかない。他に目立つ妖怪モノの作品はない。今の流行に合っていないのか、一般大衆に求められていないのか。
「ということで、茶店の歌姫をもっと現代的に近づける必要があると思われます。」
海家族やチビ丸尾みたいな感じでダラダラ日常モノでも良いとは思うのですが、1話完結の方がどこからでも途中から入りやすい。これは猫型ロボットもパン頭食わせマンも同じ。先の2作品の様に毎回、新キャラクター、新アイテムを出して永遠に続けていければいいのにな。
「カードになるためには、登場キャラクター数とアイテム数、必殺技数を増やせばいい。レアカードを出せばお金持ちが出るまで回してくれる。」
そういえば海家族やデカ丸尾君とかはスマホゲームにはならないな。戦いもライブもないし無理か。
「カードになるならぬいぐるみやフィギュアにもなるだろう。」
商品戦略などは夢の国ネズミ・ランドを真似すれば、何も困らずに良いマーケティングができる。
「やはり最後は大口のスポンサー次第か。」
大人の事情には敵わない。毀滅のように売り出してもらえた作品が世に出て売れるということには変わりはない。
「ということで、イマドキに絡めるような茶店の歌姫にしていこう。」
最後はキレイにまとまった。
「みんなでがんばろう!」
「エイエイオー!」
気合を入れをする妖怪たち。
「ああ、妖怪が現代に合わないので、身近に感じてもらうために妖怪と話せる人間、妖怪が見える人間が必要である。」
本題を忘れてた。エヘッ!
「茶店で働く新しい仲間が増えたので自己紹介でもしましょう。」
おみっちゃんは新しく茶店で働くことになったカラカラと親睦を深めたい。
「私は幽霊のおみっちゃん。夢はお江戸で歌姫になることです。エヘッ!」
歌姫になって煌びやかで輝く世界に行きたいエヘ幽霊。
(えっ!? おみっちゃんが江戸に行って歌ったら江戸が壊滅しちゃうよ!?)
カラカラはおみっちゃんの夢に恐怖を覚えてガクガク・ブルブルした。
「私は唐傘お化けのカラカラ。夢は・・・・・・できればカッコイイ人の所有物になりたいな。」
乙女のカラカラ。
「みんなで夢に向かってがんばろう!」
「エイエイオー!」
気合を入れるおみっちゃんたち。
「ここもあれですね。リニューアルすると、妖怪魔王の手先の唐傘お化けを改心させて仲間に引きづり込んだですね。エヘッ!」
日常の見ても見なくても良い作品より、悪者と正義のヒーローの対決軸をしっかり描いた方が一般大衆には分かりやすくウケるらしい。
「都会の人は腐っているので週間漫画誌も立ち読みで買ってくれませんが、田舎の純粋な子供たちは物語の先を楽しみに眠り発売には週間漫画誌を買ってくれますもんね。」
もっといえば都会はコンビニが多すぎて立ち読みできるので買う必要が無い。更にいえば、買う程の中身の作品が無いのが今の週間漫画誌一着のオシャレ着や迷惑探偵の延命が酷過ぎる。
「妖怪魔王さんの名前は何かしら? エヘッ!」
また名前付けの難題が出た。面倒臭いので妖怪魔王を略して妖魔・・・・・・ヨマさんにしておこう。
「これでいいのです。エヘッ!」
茶店の歌姫クオリティー。
「魔王妖怪マヨにしよう。」
その方がマヨネーズ業界がスポンサーになってくれるかもしれない。
「フリースペース!」
おみっちゃんたちの自由時間。
「私たちを今風にするとどうなるんだろう?」
茶店の歌姫のイマドキ・リニューアル計画が始まる。
「とりあえずカードゲームにはなるわよね。登場キャラクターはいくらでも増やせるから大丈夫でです。エヘッ!」
余裕のエヘ幽霊。
「好きなカードが出るまで課金してもらいましょう!」
スマホゲームは確実。
「キャラクター・ティーシャツなんかも直ぐにできるね。」
ハニクロで作って売り出してもらおう。
「コンビニで肉まんを売ったり、ファーストフードでハッピーセットのおまけも大丈夫です。エヘッ!」
夢の計画は次々思いつく。
「やはり、ぬいぐるみかストラップか?」
もうグッツ展開はお腹いっぱいです。
「みんなでがんばるぞ! 夢は絶対に諦めない! いくぞ!」
「エイエイオー!」
気合入れをして心を一つにする妖怪たちであった。
「グッツを持つ普通の女の子が必要なんじゃないかい? その方が親しみやすいしね。」
女将さんは良いことを言った。
「私は人間に出会わなければいけません!」
雷に打たれるおみっちゃん。
「おみっちゃん。人間に出会うを考えるぞ。」
新しいプロジェクトが始まった。
「まず過去なら、おみっちゃんが死んだ年代だな。おみっちゃんが本当に死んだのは江戸時代なのか? お江戸で歌姫になることが夢だから、おみっちゃんが死んだのは江戸時代に決定!」
ドンドン! ピュウピュウ! パフパフ! つまらない所でおみっちゃんが死んだ時代が決まった。
「過去におみっちゃんと恋仲の男? それとも茶店で働いていたお友達?」
何かおみっちゃんの過去で一つ物語が作れるね。
「でも、過去から形成するよりは現代ファンタジーの方が今を生きる一般大衆話が分かりやすいだろう。」
クソッ! 物語はいくら考えても完璧がないな。子供の頃からを書いていて絵が書ければ漫画を描いた方がはやいんだろうな。
「もし現代なら茶店で看板娘としてアルバイトに来た女子高生に出会う。」
自然な流れだ。
「女子高生と仲良くなるおみっちゃん。女子高生にお手製の自分そっくりのぬいぐるみを上げる。そして女子高生に取り憑いて事件を解決していく。」
若しくは幽霊として徘徊しているおみっちゃんが魔王妖怪マヨの手下と戦いを繰り広げて女子高生を助ける。
「こんな所が売れる路線か?」
勧善懲悪。からの最後におみっちゃんに歌でも歌わせればライブラブみたいなものだ。戦闘とアイドルで二度美味しい。エヘッ!
「ああ~売れた物を真似るしかないのかな?」
愚痴るおみっちゃん。
「あんたたち。サボっていないで仕事しなよ。給料を減らすよ。」
守銭奴の女将さん。
「それだけはご勘弁を! 私が悪うございました! お許しください! 神様! 仏様! 女将さん様!」
時給を人質に取るオーナーに弱いアルバイトのおみっちゃん。
「分かればいいんだよ。真面目に働きな!」
包容力のある女将さん。
「いらっしゃいませ! 美味しい! 美味しい! お団子ですよ!」
夢のために真面目に働くおみっちゃんであった。
「私にもお茶とお団子を寄こせ! 私は魔王妖怪マヨ様の手下のっぺらぼうだ!」
妖怪が茶店に現れてお茶とお団子を要求してくる。魔王妖怪マヨとは悪者のボスのことである。
「商売の邪魔だね。おみっちゃん、退治しちゃいな。」
女将さんはおみっちゃんに倒す様に言う。
「ええー!? また私ですか!? カラカラに言ってくださいよ!?」
お友達を売る薄情なおみっちゃん。
「カラカラは大人しく茶店の入り口で置き傘をやってるよ。」
逃げたカラカラ。
「ズルい!? 傘になってサボるなんて!?」
カラカラの方が一枚上手だった。
「分かりました。私が戦うから女将さん、少しは自給を上げて下さいね。エヘッ!」
おねだりするエヘ幽霊。
「分かった。時給を1円上げてやろう。夢の叶う日が近づいてきたね。」
女将さんは銭儲けに忙しいので戦いには興味が無かった。
「やります! やらせていただきます! 例え1円でも時給が上がるなら! 夢を叶えるために私は戦います!」
時給アップと夢を叶えるために簡単に釣られるおみっちゃん。
「私の名前はおみっちゃん! 私がお相手致します!」
おみっちゃんが妖怪に立ち塞がる。
「何を! 止めれるものなら止めてみろ!」
妖怪はおみっちゃんに襲い掛かる。
「これでもくらえ! 必殺! 顔叩き!」
妖怪は顔を叩こいておみっちゃんを攻撃する。
「ギャアアアアアアー!」
妖怪の攻撃を食らったおみっちゃん。
「口ほどにもない。」
渋い妖怪。
「誰が口ほどにもないんですか。エヘッ!」
倒されたはずのおみっちゃんが笑って立っていた。
「なに!? 確かに倒したはず!? どうしておまえがそこにいる!?」
妖怪には理解できなかった。
「私、幽霊なので攻撃を食らわないんです。エヘッ!」
幽霊のスキルのスルーが自動発生し、妖怪の攻撃はおみっちゃんには当たらなかった。
「バカな!? そんなのありか!? イカサマだ!?」
妖怪はクレームを言う。
「私が可愛いから許してください。エヘッ!」
可愛い子ぶるエヘ幽霊。
「クソッ! こうなったら妖力を上げて攻撃してやる! 必殺! 顔奪い!」
妖怪は妖力を上げておみっちゃんを攻撃する。
「なんだか怖いのでステルス!」
おみっちゃんは幽霊のスキルのステルスで透明になり姿を消した。
「どこに行った!? おみっちゃん!?」
妖怪にはおみっちゃんの姿が見えないので攻撃を当てる術がない。
「おみっちゃん。茶店とお客様が燃えちゃうから降参しておきな。」
女将さんがおみっちゃんに茶店とお客さんの安全が第一だと降参を命令する。
「参りました。私の負けです。」
姿を現しておみっちゃんは妖怪に降参する。
「やったー! おみっちゃんに勝ったぞ! これでお茶とお団子は私のものだ! わ~い!」
大喜びの妖怪。
「あの~お願いがあるのですが、私の夢はお江戸で歌姫になることなんですが、最後に歌を歌わせてもらっても良いでしょうか?」
謙虚にお願いするおみっちゃん。
「まあ、いいだろう。歌ぐらい歌わせてやろう。ワッハッハー!」
勝利して上機嫌な妖怪。
「ありがとうございます。それじゃあ、思いっきり歌わせてもらいますね。エヘッ!」
歌が大好きなエヘ幽霊。
「耳栓用意!」
女将さんは耳に耳栓をして衝撃に備える。
「1番! おみっちゃんが歌います! 曲は折り畳み傘! 聞いてください! どうぞ!」
おみっちゃんが歌い始めた。
「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」
おみっちゃんは極度の音痴でデスボイスの持ち主であった。
「ギャアアアアアアー!? なんだ!? この歌声は!? 頭が砕けそうだ!?」
妖怪はおみっちゃんの歌声に耐えられないで苦しんでいる。
「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」
更に気持ちよく歌を歌い続けるおみっちゃん。
「こうなったら私の顔でおみっちゃんの夢を奪ってやる! おみっちゃんの夢を消し去ってやる! 必殺! 夢奪い!」
妖怪はおみっちゃんの歌声に顔をぶつける。
「そんな!? 私の歌声が!?」
おみっちゃんの歌声が顔に吸収されていく。
「見たか! 私の顔の実力を! どれだけ歌おうとも全て吸収してやる! おまえの夢は叶わない! 歌姫になるのは諦めろ! この音痴!」
音痴。それはおみっちゃんには言ってはいけないワードである。
(音痴・・・・・・・音痴・・・・・・音痴・・・・・・私は歌姫になりたいのに実は音痴・・・・・・。)
プチン!
おみっちゃんの中で何かが弾ける。夢と現実の狭間で何かが覚醒する。
「誰が音痴だ! 音痴の何が悪い! 私は夢を諦めない! 夢は見る物じゃない! 夢は叶えるものなんだ! 私は絶対に歌姫になるんだー!!!」
おみっちゃんは気合をいれてフルスロットルで歌を歌う。
「おみっちゃんの夢が強大に膨らんでいく!? どこにそんな力があるというのだ!?」
思わず妖怪もたじろぐ。
「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」
もう誰にもおみっちゃんの歌は止められない。
「ギャアアアアアアー! 私の風をもってしてもおみっちゃんの歌を消しきれない!?」
気圧される妖怪。
「分かるまい! 他人の夢をバカにするおまえには! 私の夢は誰にも奪われない! 夢を見るのは自由だ! 夢は努力で手に入れるものだ! 私の心が諦めない限り、私の夢は終わらない! 私は絶対に歌姫になるんだー! うおおおおおおおー!」
おみっちゃんは絶対に歌姫になりたいという強い気持ちが自分を強くしてくれている。
「なんという執念だ!? これがおみっちゃんの夢を叶えたいという思い!? ・・・・・・参りました! 私の負けです! 何でも言うとおりにしますから、どうか命ばかりはお助け下さい! ギャアアアアアアー!」
妖怪は無条件降伏した。
「ご清聴ありがとうございました! ああ~気持ち良かった! エヘッ!」
歌を歌い終えてご満悦なエヘ幽霊。
「それではノッノッ。」
おみっちゃんはのっぺらぼうのことをノッノッと名付ける。
「ノッノッ!? なんか女性誌みたいな名前だな?」
結構、気に入っている。
「ノッノッ。早速お皿洗いから始めてもらうわよ。」
おみっちゃんはノッノッに皿洗いを命じる。
「私、目がないからお皿が洗えないんだけど。」
ノッノッは目が無いのでお皿が見えなかった。
「毎回、こんな落ちばかりかよ・・・・・・。もう、ヤダ。」
落ち込むおみっちゃん。
「なら、新しいお団子くらいは考えなさいよ。」
新人が新商品のアイデアを出すのは茶店の掟である。
「そうね。お団子をマシュマロにして、とろけるお団子とかどう?」
まさかのノッノッの素晴らしい発想。
「いいわね。美味しそうだわ。」
ノッノッも満足のアイデアであった。
「これにて一件落着! エヘッ!」
勝ち誇るおみっちゃん。
つづく。
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