おつきあい

そんなやりとりで始まった。猛と私の付き合いは一年になろうとしていた。不器用な奴で聞かなくてもいいことまで聞いてくる慎重さだ。そして手をつないで歩くとこから進展していない。


バリバリのハードボイルドな映画をみた後に何気なく言われた。

「狼刃も獣人だな。なんだかんだでも強い男が好きだ」

「そりゃ弱いより強いほうがいいけどそれだけなら意味がない」


「俺、結構頑張ってるつもりだけど?」

「うん。正直ここまで我慢するとは思ってなかった。リードとるとこはとって構わないんだよ。今は引きすぎ感あるかな」


「それはどこまでいいのさ?」

「デートコースくらいは決めてくれたほうがかっこいいかなって思う」

「ちぇ、口付けくらいさせろよ」


「したい?さきにいきたくならない?制御できる?」

「うっ、たぶん」

「さっきの映画のラブシーンかっこ良かったもんねぇ」

「あーあそこまで行くと止めれないぞ俺」


「駄目な男だ」

「主人公だって敵さへ入ってこなきゃいくとこまでいってたさ」

「それにはいたって同感だけど」

見詰め合って大笑いする。その日私は誕生日で上機嫌だった。


帰り道、家の近くの公園で一つしかないベンチに座るよううながされて座る。

「誕生日おめでとう。いつ渡すか迷って結局こんなところでになっちゃったけど観光土産屋だったけどみつけたらかわいくって、いつか渡そうと思ってたら二週間とたたずに誕生日だっていうし丁度いいと思って」


「うん。かわいい。これなに?」

「桜貝だと」

「もうひとつ。思い出頂戴」


「俺何ももう持ってないぜ」

「むー、鈍感、女の子がその気になる時って意外と少ないんだからね」

「あー、いいの?どこまで許してくれる?」

「こんな場所で服脱がしたら張り倒す」


この日私達は始めての口付けを交わした


その日、私の部屋で猛に女の体のリズムを説明していた。

「だからだいたいここまでが安全日でここにからは危険日排卵日がここで生理が始まるのはここ。でも本当に安全な日なんてないよ。体が男の人を感じるとリズムは勝手に危険日になっちゃう」


「今は?」

「危険日に入ったあたり」

「どうせなら安全日に説明しろよ。押し倒すいい機会なのに」

「猛?隣にはお兄ちゃんが居て一階には両親が居る。この状況で押し倒したら殺されても文句言えないからね」


「留守に呼べよ」

「うちが空になることはまずないわよ。直系なんだから」

そんな話をしているとママが入ってくる慌ててノートを閉じる私。


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