割り切り
「幸せになれるかな」
「私の人選を疑うの?」
「そうじゃないけど人間じゃない。きっと人間とは結ばれない。ハーフを育てるのは大変でしょう?それ以上に人間が獣人を愛するのは大変だわ」
「人間と結ばれるかもよ?」
「それはないと思う。あの子には獣の習性が染み付いている。まるでアマラとカマラみたいに…」
「…ようするに純潔の人間に馴染むには努力が居るわけね」
「何より生涯にわたり私たちの事を黙秘する能力にかけてると思う」
ママが難しい顔をする。
「なるほどね。黙秘させるよりは取り込んだほうがこっちとしては楽か。そしてあの子は苦労せずにはいられないと」
「うん」
ママが私を見る。ぽんぽん。頭を軽くなでられるように叩かれた。
「成績は下がってもいいけど自分は大事にしなさい。いずれその日が来たとしても
その時人間として生きている今の生活全てが消えうせるわけじゃないのよ」
「でも、人間を愛するわけには行かないし、就職もバイトも辞めなきゃいけないし、
私と結婚する相手はリーダーの気質を持ってる人じゃなきゃならない。あんなに大人しそうなパパだって喧嘩じゃ誰にも負けない」
「……人間に好きな子がいるの?」
私は母を見て肩をすぼめた。
「最初からそーゆ芽は摘み取ってる。私には縁のない人として…友達も誰一人としていなくなくちゃ困る相手は作ってないわ。遊び相手に都合がいいのを選んでる」
「狼刃…」
「宿命でしょう?」
「私はそこまで達観できなかったけど恋は大丈夫よ。私達の本能が自然と嗅ぎ分けるわ。むしろ統括者に生まれて数少ない良かったことよ」
「本能がオスを嗅ぎ分けるかぁ。じゃあ、何故ハーフは生まれる?」
「それは…」
「ママは嘘をつくのが下手だね。獣人だって亜種だよ。本能以上の関係が作れる」
「そうね、ごめんね。人生押し付けちゃってるよね」
「…仕方ないよ。私はこの家に生まれたこと後悔はしたことないしさ」
苦しんだこともあるし、今も素直には生きられないけど…うん。後悔はしてない。
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