戒律
私は女の子をパパの元へ連れてきた。事情はかいつまんで話す。その間にママが風鈴の腹を探る。ママは治癒能力者だ。統括の直系にしか生まれない。私もその治癒能力者で統括の跡取り娘だった。いつかは人間の生活は終わる。
「酷いわね、本当に破裂寸前だわ。置いては行けなさそうね」
やりー、統括者のママの言葉は絶対だ。これで風鈴の両親は逆らえない。
「パパの言い方も悪かったのかも知れん。ごめんな狼刃」
「パパが悪いわけじゃない。子供を正当に扱わない親が悪いのよ。しかも事故を起こした本人が全然反省してない」
「私、家からでていくの?」
「この家で貴方をまもってくれてたおばあちゃんがいなくなったわ。葬儀は最後まで残るし墓参りも連れていってあげるけど、当座うちにくるといいわ」
「そのこすごいのよ。しゃべれないけど獣人語を理解できるの」
「まさか…でもそうね初音さんが相手してたならあるいはありえるかもしれない」
「ここのおばあちゃんってそんなにすごい人だったの?」
「人間の世界に混じっていくための法則や決まりごとを作ったひとの一人よ」
ほへー。どうりでうちが葬儀に参列するわけだ。
「風鈴ちゃんは一度うちで預かるけど里親を探すことになるわ。人間だから赤ん坊なら人間にたくすのだけれど風鈴ちゃんはもう獣人のことを知ってるから監視役も勤めれる獣人の夫婦を探さなきゃね」
「やだねー監視役とか。まるで風鈴が悪い子みたい」
「でも戒律を破ってる。致し方ない話だろう。俺たちは闇と人に紛れてるんだ」
「そりゃ、そうだけど」
私はうつむく。その戒律とやらを守らせるべき存在としていずれ人間界を捨てて生きていかなきゃなくなる。今の私には重すぎた。だから遊び歩いてるのだが。
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