問い続ける、刹那の自分
影迷彩
第1話
「問題です、あなたはどこにいますか?」
どこからか聞こえた声と共に、俺は目を覚ました。
辺りは暗い暗い、闇夜に浮かぶ月に照らされた濃い緑の森のなか。
「し、知らねぇよ……森のなかって言えばいいのか?」
答えは返ってこない。仕方がないので、俺は足を恐る恐る踏み出しながら、道を探した。気のせいか、足元が明るく見えて歩きやすい。
「あなたはなぜここにいますか?」
「何故って、そりゃ夜勤帰りにここを通っただけさ」
そう答えると、辺りが不気味なほど静寂に包まれた。
そう思った瞬間、森の木々から一斉に蝙蝠が飛び立ち、俺に襲いかかった。
「うわああああああああああああ!!!」
俺は顔を腕で庇いながらひたすら逃げ出し、森のなかをさ迷った。
「ハア、ハ、何だよチクショウ!! 何でここまでされなくちゃいけねぇんだ!!」
「最後の問題です」
俺は振り返った。そこには一人の少女がいた。顔が真っ黒でよく見えないが、タイヤに潰された服の汚れ跡で否が応でも思い出した。
「私は」
「お前は、俺が轢き殺したガキ!?」
世界が静寂だけとなった。いきなり目の前が真っ暗になり、異様な静けさに五感が支配された。
「ご、ごめんなさい……許してください……今度からは気を付けます……」
フフッ
どこからか少女の声が聞こえた途端、俺は道路に立っていることに気がついた。
「やった……やったぞおおおおお! 俺は帰れたんだっ」
振り替えると、車のライトに全身が照らされててててでででででで
「私がしたいことはなんでしょうか」
答えられない。ああ、なんて答えればいいか。
俺は森のなかに迷いこんだドライバーの背後に立ちながら、明るい夜空の不気味な月を眺めた。
問い続ける、刹那の自分 影迷彩 @kagenin0013
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