百物語

お題17、パトランプ

ある男性が、有名な心霊スポットに行ったんですね。

元はホテルだったみたいなんですが、そこは赤い部屋があって、そこがやばいって話だったんですね。

もうその部屋は壁紙も赤くてベッドも赤くて、男性が部屋を見つけた時、ここが赤い部屋だ！噂通りって思ったらしいんですね。

で、そこに男性は入っていった。あとでSNSとかにあげてやろうと思って、写真や動画をとっていたんですけど、何も起きないし何も映らない。

まぁ、こんなものかと思って帰ろうと赤い部屋から出て廊下を歩いていたんですね。

そこで別の部屋からなんかチカチカと光が漏れてた。

男性は血の気が一気に引いた。

赤いパトランプ、警察だ。

男性がしている事は完全に不法侵入ですからね、お巡りさんが来たら現行犯逮捕されます。

慌てた男性は隠れようと、その赤いパトランプの光がちかちかしている部屋に入ったんですね。

で、馬鹿らしいですけど、暗い部屋の隅にうずくまってやり過ごそうとしたんですね。

しばらくずーっと待ってたんですけど、誰かがホテルに入ってくるような感じしないんですね。

でも、パトランプはずっと回ったままでなんだろと思ってた時、ふとここの謂れを思い出したんです。

女性がころされたらしいんですけど、その女性、救急車が到着するまで生きていたらしいんですよね。

思い出してぞっとした。

あれ、この光、警察なのか？

そう思ったぐらいで急に部屋が臭くなったんですね、妙に甘ったるい匂い。

ひょっとして、俺が今見てるこれは・・・その女性が死ぬ時の光景？

と考えた瞬間、バチンっとまるで電気が切れた音がして、赤いパトランプが消えて辺り真っ暗闇になった。

男性はうわぁぁぁあと叫んで駆け出してホテルを出たんですね。

ホテルの外にはパトカーや救急車、もちろん消防車なんていなかった。

もう男性は膝がっくがくになりながら、逃げて逃げて帰ったらしいです。

私にはもう二度と心霊スポットいかないっておっしゃってました。