第一話 ゼロの執行者
深夜0時
新宇宙歴35年 7月12日アミスター3区
「はぁーーー。この辺の治安悪いから怖いわ」
彼女の名前は月村 ヒカリ SAP所属の
三等捜査官である。
彼女は今アミスターの中でも一番治安が悪い3区に訪れていた。
今は深夜0時であり町自体は明るいが犯罪率が高くなる時間帯である。
「はぁーーー」
ヒカリは深くため息をついた。それはそうだろう。最近までは犯罪率が低く
人口も少ない9区を担当していたのだ。
だがある日偶然犯罪者を逮捕してまいその功績を称えられ望まない進級をしてまい三等から二等捜査官として3区に配属されてしまったのである。
(本当についてないな。まあだけどスピード出世てことでいいか♪)
彼女は意外とポジティブである。
そう考えていたら夜の街を見回りしてたことをすっかり忘れてしまっていた
。
(ここら辺は本当に治安が悪いから怪し人を見かけたらすぐ捕まえなきゃ)
そうやって気合いを入れ直し周りを見渡す。といってもそんな簡単には出てこない....
と思ったら自分が渡っていた橋の下に黒いフードをかぶった男がいた。
何かぶつぶつ言っている。はっきり言ってすごく怪しい。
「あなた!そんな所で一体何をしているの!?」
彼女はすぐ橋の下に降りてその男の所に駆け寄った。
男は驚いて少しパニックになっていた。
「いや、僕は決して怪しい者では…」
「だったらフードを脱いで顔を見せない!あと身分を証明できる物を」
「いや、それはちょっと」
「いいから顔を見せないさい!じゃないと逮捕するわよー!」
「ちょっと。ワーー!やめてーーー!!」
ヒカリは男のフードを剥がそうと引っ張った。
そしてヒカリはフードをひっぺがした。
「え……?」
彼女は唖然とした。なぜならその男は
すごく整った顔しており、銀色の綺麗ショートヘーアだったからだ。
はっきり言って彼女のタイプだった。
「きゃー恥ずかしい。だからやめてって言ったのに〜」
ヒカルは見惚れていたがすぐ我に帰り
さっきと同じ態度に戻った。
「ちょっとあなたいったい何者!?
とりあえず怪しいから近くの警察署に……」
「ちょっと待てって。僕は同業者だよ。これを見て」
「え?」
男は着ている上着を脱いだ。
彼が着ていたのはヒカリと同じ
であるSAPの制服だった。
彼女はまた唖然として彼の方を見た。
「疑いは晴れたかな?あの〜もしもし聴いてる?」
彼の問いかけにヒカルはハッとなった。
そして彼に怒鳴り付けた。
「あんたね!捜査官のくせになんでこんな所で怪しいことしてるのよ!!
こんな場所にいたら誰だってあんたを怪しいと思うわよ!!」
「いやあの〜だって……」
「とにかく!そもそもなんでこんなところにいるのよ!?」
「まあ落ち着いてとりあえず君の名前は?」
「は?えっと私は月村ヒカリ二等捜査官」
「そっか。じゃあヒカリちゃん」
「そんな慣れ慣れしく呼ばないでよ」
「まあまあ。それでヒカリちゃん。
君結構可愛いね」
「え?」
彼女は少し顔を赤らめてしまった。
「僕は君に大事なお願いがある」
「え?なによ?」
「僕と2人であそこに行ってくれ!」
彼が指をさしたところは…………………
ラ○ホテルだった。
ヒカリは顔を真っ赤ににして彼の頬を力強く引っ叩いた。
「ふざけないでよこの変態!!」
「いてて……。なんだよちょっとふざけただけじゃないか」
「調子に乗らないで!あなた何歳!?どうせ私と同じ未成年でしょ!」
「まあまだ17 歳だけど………」
「はぁ!?私より1歳年下じゃない!
はっきり言って私の方が階級は上よ!
いい?私はあなたより…」
彼女のマシンガントークはしばらく続いた。
だが10分ほどたった後女性の悲鳴が聞こえた。
「なにもしかして超能力犯罪者!?急いで行かなきゃ!」
「え……………ちょっと待って……………」
ヒカリは一目散に走っていた。
「はぁー……。面倒なことになった」
男は深くため息をついた。
ヒカリが叫び声の聞こえた方に走っていると人通りがない屋外の駐車場に着いた。
そして目の前に縄で縛られた女性を車に入れようとしている男がいた。
「何をしてるの!?その人を離しなさい!」
「んー!んーーー!!」
縄で縛られた女性は口を縛られていた。涙を流しながら必死に助けを求めている。
「なんだテメー?なっ!?その制服は!?クソ!SAPか」
「そうよ。だから観念なさい!」
「ふん。こんなところで捕ってたまるか!こうなりゃ暴れさせてもらうぜ!」
男は自分の超能力を解放した。
頭からツノをはやし体が巨大化して
肌を青く染めた。超能力名は青鬼である。
「やっぱり超人だったのね。こうなったら実力行使よ!」
月村ヒカリ二等捜査官
彼女の能力は強力な光を放つことができる。
「えい!」
ヒカルは相手に光を放ち目眩しをして
拳銃を撃った。
しかし相手の身体は実弾を通さなかった。
しかしヒカリはそれに気がつかず青鬼のふところに入ろうとしてしまう。
そして彼女の目の前に青鬼の拳が迫ってきた。
「まずい。キャーーー!」
ヒカリはもろに相手の攻撃を受けてしまった。
吹き飛ばされそのまま地面に転がる。
「ふん!二等で助かったぜ。一等あたりだったらキツかったかもな」
「はぁはぁ。身体が動かない」
ヒカリは立てなくなってしまった。
「見られちまったからな。お前にはここで死んでもらう」
青鬼がそう話すと倒れたヒカルに拳を向けてトドメを刺そうとした。
(ここまでか……。悔しいな。)
ヒカルは自然に涙を流した。助けを求める女性を助けられず自分も死ぬ。
自分の無力さを悲しんでいた。
そして拳ゆっくりと落ちてくる。
これから死ぬからだろうか。やけに攻撃が遅く見える。ヒカルはゆっくり目
を閉じた。
「全く能力に頼りすぎるからこうなるんだよ。」
彼女の耳にさっきまで話していた男の声が入る。
彼女が目を開けて目の前を見て見ると
橋の下にいたあの男の背中が見えた。
なんとその男は相手の拳を片手受け止めていた。
「チッ!もう1人きちまったか。まあいいお前もぶっ殺してやる」
「殺されるのはお前の方だ。この青狸野郎」
男は不敵な笑みをした。
「あなた何者?もしかして私より
階級が上なの?」
「後で説明するよ。ちょっと待てって
ヒカルちゃん」
男はヒカリに優しい笑顔で話しかけた。
「死にやがれーー!!」
青鬼が拳を振りかざそうとした。
しかしその瞬間なんと青鬼の首が突然飛んだ。そしてその頭と切り離された胴体が後ろに倒れた。
「え!?」
ヒカリは驚きを隠せなかった。
何が起きたのか理解できなかった。
どのような能力を使ったなのかも全く理解できなかった。
彼女が唖然としていると男は話しかけた。
「大丈夫?ヒカリちゃん。もう大丈夫だよ。安心して」
「あなたいったい階級は一体いくつなの?まさか一等より上!?」
「え〜とね。なんて言えばいいんだろう。一等より上でも下でもないと言うか……」
どうやら男は返答に困っていたようだった。悩んだ挙句彼は誤魔化さず
に答えることにした。
「俺はSAP 八神 ケント0等捜査官」
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