双子の過去Ⅵ
結局、一日目のテスト、(数学・国語総合)は無力にも儚く散るのを、私は目の前で見た。
そんな私とは真逆に、普段から真面目に授業を受けていた雪真はと言えば、
「……………………………」
無言で解答用紙に文字を書き込んでいく。後ろに振り返ることは出来ないけど、音だけで分かる。さっきから机にカツカツと音を出しているのだ。
「…………はぁ」
私は溜息を吐きながら、明日のテストについて考え始めた。
でも、結局はその思考もすぐに散ったけど……。
そんなこんなで最終日である三日目。
そんな三日目の朝に事は起こった。
朝の学校の下駄箱。私と雪真はそこでいつも通り上履きへと履き替えてのだけれど、何故か、雪真の動きが止まったのを私は見た。
どうかしたのかな……。
そんな思いで顔を雪真へと向けると、紅潮した顔。そして、嬉しそうな表情を浮かべていたのだ。
「どうかしたの?」
「……………」
「ん? もう、どうしたのよ」
「………どうしよう」
私の質問にウンともスンとも答えない雪真。その視線の先にあるのは下駄箱。そして、その先には、もう一つ見慣れない紙が入っていた。
「ピンク色の封筒手紙……差出人は……」
差出人を見た私は驚い。
「…………三城屋からだよ……暁、どうしよう……」
予想外の相手からのピンクの手紙。
一見、可愛らしい色の手紙であったけど、その手紙が最悪を招く黒い手紙だと気付いた時には手遅れだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます