真実を知るもの
「櫻坂ぁ……私の授業が聞けないって言うのかぁ……そうかそうか……」
懐かしい夢を見た俺を現実へと起こしたのは、可愛らしい声だ。
俺の事を呼びながら近づいて来るロリ声。
こんなロリ声を出す奴は俺の知っている奴でいただろうか……。
俺の席の方へと近づいて来ているのは確実に分かる。軽やかな足音が近づいてきているからだ。
「なぁ、櫻坂ぁ……私の事、嫌いになったかぁ?」
そして、俺の真横に近づいて来た奴は俺の耳元で囁く。
眠りに就いている俺はそんな質問をされたことで、自然と口に出てきた言葉があった。
「……嫌いだよ……」
「―――――ッ!」
「俺を一人置いて行ったアンタらなんか……」
「……………………」
起こしに来ていた奴はそんな俺の言葉を聞いて、口を開かない。
頭に昇った血は多分、今の言葉で収まったんだと思う。
俺を起こしに来たのは教師だっていうことは、寝ぼけていても分かる。だから、教師も怒ろうにも怒れなかったんだろう。
「……今日は勘弁してあげるわよ」
スタスタと足音が遠のいて行くのを感じながら俺はもう一度、深い眠りに就いた。誰にも邪魔されないように。
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