悲しみの中で

 二十分の間で、俺は懐かしい夢を見た。

 今の俺ならあり得ない事ばかりで、それだけで心の中が温かくなった。

 誰もがそんなことが普通の事だと思っている。

 だけど、俺にとってはそんな普通がもう無い。

 だから、少しばかり羨ましい。そんな普通がある人たちが。

 そんなことを温かくなった心から思い、俺の瞳からは一滴の涙が流れた。

 空を見上げたら、全体がくすんで見えて……俯くことしかできなかった。

 俯いた俺の視線の先には薄暗い影だけが見えた。

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