第6話 巨大な人形
そして、回想を終える。ふむ。やはり、魔神王ということは信じてなさそうだな。
なら、信用がある人物に証明させるしかないか。
ならば、
「君が信用できる人は誰?」
「族長様の言葉なら。」
「じゃあ、会いに行こう。出身はどこ。」
「この国から、東にずっと歩いていく。」
「分かった。名前聞いてもいい?」
「アイリス。」
「アイリスね。覚えた。」
「後、私からちょっと距離を取って。怖いから。」
「分かった。」
そこから、一日中歩き続けて、着いた場所はほとんどが焦土と化していた。
「どーした。天災でも起きたか?」
「人間に襲われた。魔神王との戒禁にあるから、一方的に受けるしかない。つまり、蹂躙。だから、争いにはならない。」
「円滑にしろとは言ったが、屁理屈で捻じ曲げるか。」
<火球>
<水泡>
<風刃>
「あ?」
バァァン
当ててきていない。なぜだ。ん?
グチャァ
「おいおい。初対面だろ。いきなり刺してくるなよ。」
「人間風情が。」
そして、突き刺した剣を強く握り、左胸から上に突き上げる。
グシャァ
すると、そのエルフは顔面蒼白になり、距離を取った。
「なんで、血が出ない。」
「人間じゃないからじゃない?」
「人間でなくとも血は出るはずだ。」
強く抗議してくるエルフは、軍服のような服をキチッと着ている。しかし、身体中に切り傷が見え、腹部には包帯が巻かれていた。
顔は困惑と恐怖で包まれており、黄緑色をした目は焦点を失っていた。
ふむ。こいつも残念な奴だ。
「族長に合わせてくれ。」
「そんなことできるわけがっ」
「族長は私だよ。」
老いたそのエルフは、優しい物言いで語っていた。
「話し合いがしたい。どこか場を設けてくれ。」
「わかりました。ではこちらへ。」
そう言うと、踵を返してある建物に向かう。
その建物だけなぜか、損傷が見られなかった。
中に入ると急に話を切り出した。
「すいませんな。人間の襲撃があったものでキリキリしてましてね。それで、なんのようでしょうか。お強い人よ。」
「率直に言おう。僕は魔神王のシュガンノートだ。故に魔族すらも僕の管下にある。エルフとの仲は争いをするほどでもないが、悪いと聞いている。」
「そうですね。領土の問題や食糧の問題などが多く、仲は険悪でしょう。」
「だから、ここで宣言させてほしい。魔族とエルフで和平を結ぶ。干渉しあい、互いに手を取り合っていくべきだ。」
「それはわかりました。失礼かもしれませんが、あなたが魔神王であることを証明するものはありますか?」
「あるぞ。」
そう言い、収納魔法を起動する。
そして、『形を持たないもの』を取り出す。
「これならわかるんじゃないか。」
「これは、先代の魔力ですか。」
「そうだ。彼から少しもらっていた。これで証明になるだろう。」
「わかりました。では、」
「失礼します。族長。」
「どうした。今、大事な...」
「巨大なゴーレムの襲撃により、傷者数名。被害が出ております。族長もお逃げください。」
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ゴーレムは泥人形という意味らしいですよ。
だからタイトルに人形を入れました。
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