ひとりぼっちのタカ
ALT・オイラにソース・Aksya
ひとりぼっちのタカ
ひとりぼっちのタカがいました。
そのタカは、姿がとてもこわいので、皆から仲間外れにされていました。
タカは言いました。
「ねぇ、遊ぼうよ。ツバメさん。」
でもツバメさんはタカを見るなり逃げていきました。
「ねぇ、遊ぼうよ。フクロウさん。」
でもフクロウさんはホーホー鳴いて逃げていきました。
「どうして皆は僕を避けるの?」
タカはひとりぼっちでした。
でもある時そんなタカに近づいてきた鳥がいました。
「ねぇ、タカさん遊ぼうよ。」
タカが振り向くと、そこにはヨタカがいました。
タカは喜んでヨタカを自分のお気に入りの森へと連れていきました。
一日が終わり床についたタカは、友だちができたことをとても嬉しく思いました。
それからタカとヨタカは毎日一緒に遊びました。
ある日タカはヨタカに尋ねました。
「どうしてヨタカさんは僕と遊んでくれるの?」
「それはね、僕の名前には君の名前が入っているでしょう? だから仲良くなれるかもしれないなって思ったからだよ。」
また別のある日タカはヨタカに尋ねました。
「どうしてヨタカさんは皆に好かれているの?」
ヨタカはタカのようにおそろしい姿でないので、皆からこわがられたりはしませんでした。しかしヨタカはそれをタカに言うと傷付けてしまうと思ったので、ヨタカはこう言いました。
「それはね、皆最初から友だちだからだよ。今はまだきっかけがないだけで、タカさんもきっと皆と仲良くなれるよ。」
タカはそれを聞いてとても喜びました。
ある日、ヨタカが空を飛んでいると、ツバメに出会いました。
「ヨタカさん、ヨタカさん。あなたはどうしてタカさんと遊ぶの? 彼はあんなにおそろしい目をしているよ?」
ヨタカはくちばしを開いてこう言いました。
「タカさんはやさしくていい鳥だよ。ツバメさんも今度一緒に遊ばない?」
ツバメはそれを聞くと、首を振って飛んでいきました。
ある日、ヨタカが空を飛んでいると、フクロウに会いました。
「ヨタカさん、ヨタカさん。あなたはどうしてタカさんと遊ぶの? 彼はあんなにするどい爪を持っているよ?」
ヨタカはくちばしを開いてこう言いました。
「タカさんの爪はね、皆を傷付けるためじゃなくて、皆を助けるためにあるんだよ。フクロウさんも今度一緒に遊ばない?」
フクロウはそれを聞くと、ホーホー鳴いて飛んでいきました。
ある日、ヨタカと一緒に遊ぶ約束をしたタカは待ち合わせの木で待っていました。しかし約束の時間になってもヨタカは来ませんでした。
「ヨタカさんはどうしたのだろうか? もしかしたら急用ができたのかもしれない。」
タカは時間ができて暇になったので、空をブラブラ飛んでいました。しかしヨタカがいないとつまらないと思ったタカは、普段いかないようなところまで飛んでいきました。
気がつくとタカはまったく知らない森にいました。
「ここはどこだろう? 迷ってしまった。おや?」
何か聞こえたような気がして、タカは目を凝らして森を見ました。すると、なんと友だちのヨタカが木にのし掛かられてぐったりしているではありませんか。
タカはすぐさまヨタカのところに向かいました。ヨタカを揺すってみても反応がありません。タカは木を持ち上げてヨタカを助けようとしました。
タカはその爪をグイッと食い込ませ、えいやっと力をいれました。しかし木はちっとも動きません。
タカはさらに力を込めました。木が少し浮いたような気がしましたが、それでもヨタカを助けることはできませんでした。
タカはさけびながら全力で木を持ち上げようとしました。そのけたたましいさけび声は空じゅうに響きました。
その声を聞いて他の鳥がやってきました。
鳥たちはタカがヨタカを助けようとしているのを見て驚きました。
そして鳥たちはいっせいに木を掴み、タカに力を貸しました。
そして、とうとう木が持ち上がり、ヨタカは助けられました。
ヨタカは息たえだえになりながらも、タカに言いました。
「君の視力がなければ僕は助からなかったよ。ありがとう。君の力がなければ僕は助からなかったよ。ありがとう。君のさけびがなければ僕は助からなかったよ。ありがとう。」
それを聞いた他の鳥たちは口々に言いました。
「タカさん、タカさん。君はとてもやさしいんだね。」
タカは嬉しくなりました。
友だちの力になれたこと、そして皆にみとめられたことが嬉しかったのです。
それからタカは毎日皆と一緒に遊んでいます。
もうそこにひとりぼっちのタカはいませんでした。
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