episode.5 セレモニー

 作戦名カタルーニャの願いでは、路面の補修工事は徹底的に打ち合わせしていたので、配管は事前に止めて、その日中の工事で埋め合わせた。

 そして避難した市民は迂回しつつ、当日の内にほぼ自宅に帰れた。それでも帰れないのは、どうしてもの破壊建造物大中小まとめて17戸があるからだ。ヴァイス・ジーザスの姉御は、どうせブリティッシュ・ビルド・ユニオンが入るから修繕は直によで、これ以上の憂いに労いは静かに宴での雰囲気へと誘われた。

 ただその宴が、俺は今でも夢なのかの華やかさに心奪われる。


 バルセロナ自警団の慰労は、死闘その日の内にいつものアジトである旧式建築のアパートメントを全面改装したレストラン:ポカ・アレグリアで行われた。全席合わせて400名余りを収容する一大レストランだが、その晩は都度都度紹介されるも、まるでバルセロナ市民入れ替わり立ち替わりでひしめき合い、ミアンを連れ立ってはいつ逃げようかの算段をするも、中庭の主賓席に瞬足で連れ戻される。俺はただ困り顔、ミアンは珍しく目をパチクリする、ヴァイスはブリンディスの労いから思う存分祝杯を上げる、玄一は英語で簡単な挨拶を交わしてはマイペース、芍薬はそのキュートさから酒は行けるか行けますと親睦を深める。


 その是永芍薬が何故主賓席にいるのか。そこはヘラルド司祭とサウロとガスパールの深い談義から、俺達5人が改めて呼ばれては、芍薬は表向き軍功抜群の探索班も、テレパシーのギフトを承った福音者で、マッドドッグに引導を促した代え難い存在だと丁寧に説明された。丁寧は俺とミアンがただ憤ると慮ったからだろう。そして玄一は、日本人同士も利害が一致しただけと、割り切りを遠回しに俺達を宥める。次いでヴァイスは、同じギフト同士だから私は良くて芍薬は駄目は無いでしょうの、相変わらずの大人発言。

 芍薬に俺達の素性どころか、内面迄読まれていた気恥ずかしがどうももどかしいも、芍薬に仲良くしましょうとはにかまれた日には、俺は何故意固地になってるのかほとほと捨てた。ミアンはと言うと、窺う程に地団駄踏見ながら、芍薬とのバトルシミレーションが4回程展開して勝てないと悟ったか、芍薬との握手とハグが丹念に行われた。


 そしていざ、一晩の祝宴も哀悼のフラメンコの1フレーズが掻き鳴らされては、抜群の踊り手が立ち代り情熱を持って繰り広げられる。そしてミアンと芍薬が手招きされるまま、脅威のシンクロの二人が、ステージに立っては渾身の舞踏を見せる。

 フラメンコの合いの手は今日一番になるだろうかと思ったが、皆一様に感に入って涙を拭いてはそんな余裕はまるで無い。ミアンと芍薬の全開は危険と俺はここで漸く悟る。また玄一とヴァイスに連んで、俺達にテレパシーが無いのは、芍薬がどうしても見え過ぎて自らのペース配分を掴めなくなるからであろうとも察してしまう。

 このまま俺達は密なる親交まま酒宴に応じた。ただそれも朝日を浴びたポカ・アレグリア内は、既に所狭しと泥酔のバルセロナ市民の山々を呆然と見渡した。その中、宴を乗り切ったバルセロナ自警団のよりタフな一向と、長かったなと和かな視線を交わしては、やっと解放される手筈になった。



 そして、朝帰りから滞在先のホテル:アルテ・カタロニアで一息付いての起きしなに、ホテル内の喫茶でブランチを取ろうかと切り出そうかのその瞬間、ドアベルが丁寧に鳴った。

 ドアの前の老紳士はバザム・デ・シスネロスと名乗り、スペイン王室筆頭侍従長の名刺を差し出した。その声で反応したのがミアンで、老紳士に容赦無く抱きついては、バザム老けたね、ミアン様は相変わらず見目麗しいと、毎度のままある光景になった。

 急ぎの用としては、今回の凶獣マッドドッグ撃退で、マドリード王宮にてアルフォンソ18世が会談を行いたいので是非ご招待したいとの事だった。俺は、バルセロナ自警団は300人相当いるので俺達だけは控えますと即答したが、既に黒田玄一様はお車にて寛いでいますと、そこで挫けた。誰に悟られ様とせず、いち早くバルセロナを去ると疑わなかった玄一が捕まった以上、スペイン王室はかなり手強いと、呆気なくはいで応じた。


 そこから程なく、ホテル外に停められたスペイン王室のトヨタ・センチュリーロイヤルに乗り込み発進しては、察しに察した是方芍薬と、完全に酔い潰れたヴァイス・ジーザスが乗り込ませられた。

 バルセロナ-マドリード間の車中旅は間食と休憩有りきの8時間で、到着時間は優にそのまま夕食会かの充実コースになろうかと溜め息になった。

 止む得ず俺だろうの長めのスピーチを思案する筈が、ミアンとバザム侍従長の昔話にぐっと引き寄せられ、そこに漸く復調したヴァイスが適度な落としに入っては、車中は談笑に包まれただ和やかな雰囲気になる。まあ、スピーチは即興原稿空読みで良いかにした。



 2003年5月26日火曜日17時30分。マドリード王宮に着き、長い回廊を掻い摘んで案内されながら、何故か謁見室を通過して、アルフォンソ18世の執務室に通された。そして室内には若きアルフォンソ18世と、教育係から後見人に任命されたスペイン王室祭礼官入江帯尊始め5人が脇に並び、皆神妙に挨拶を交わした。

 儀礼的な簡素な名乗りから、アルフォンソ18世直々のお礼へと、次いで入江帯尊による今回の凶獣マッドドッグに纏わる事件のあらましが的確に説明された。この短時間で確かにまとめられるかが巡ったが、その入江帯尊自警団団長は昨夜の慰労会の最初には始まりの乾杯の声を上げてから見かけていない。さては高速ヘリでマドリード王宮に戻って、このセレモニーを早急に立ち上げたに違いない。まあ急な登城で、料理人さん達に迷惑を掛けるなと思いながらも、話は漏らさずに進む。


「凶獣マッドドッグは、過去ヨーロッパの連鎖事件の58例目に当たり、公文書には残せないものの、各個人の働きを鑑みる際の参考にすべく詳細は述べておく。マッドドッグの検視はベルリン・フンボルト大学の新体系自然科学研究所名誉所長バードランド・アインシュタインの立会いの元、駒爪の年代測定から24才相当となり、何故ここ数年の未確認生物のままでいられたかは謎だそうだ。ソーマの類いを食したか、自ら躍動の先に後天的に身体速度を上げたか、劣悪な環境に対応すべき体組織が強化されたかの、何れかと思われる。そのマッドドッグの死骸はダイヤモンドチェンソーであっても、硬化した死骸を開腹出来ずに詳細検視は不可能との判断された。それでもCT撮影で漸く体内組織を分析するも、柔軟な三重構造の筋肉組織で有り、心肺組織のバイパスが太い事から、ここから導き出せるのは、如何なる強者が駆除に乗り出しても所詮倒せる相手では到底無かったと、全人類希望の天才のバードランドは本当言ってくれるよ、それ早く言えよ、推論でも良いからさ。そのバードランド・アインシュタイン名誉所長が、聖槍でマッドドッグの左側頭部に止めを刺されたものの、万が一の蘇生を鑑み大型火葬炉で無事弔ったと、遺骨は良からぬ勢力の奪取を警戒し、秘密裏に地中海に散骨する最終報告を受けた。そして、凶獣マッドドッグが関わった事案の被害全てに、ユーロが協調し損害賠償に全力に当たる旨を今日午前内密に合議が完了した。ついでのうんざりになるが。サンクトペテルブルク/マルセイユ/ヨハネスブルクの連中が物見遊山にうろちょろしていたが、作戦名カタルーニャの願いの速やかな遂行で退けた事も大きい。そう、アルマ・ヴァン・ヘルシング/ミアン・マクリーン/ヴァイス・ジーザス/黒田玄一/是永芍薬の篤志5人が良くぞ合流して退治した功績は抜群に尽きる。これはスペイン国民だけで無く、ユーロ全土の市民に関係者の謝辞として受け取って貰いたい。ただ、ここは俺が言わせた訳では無い事はくれぐれも言っておく。尚今回のマッドドッグ退治の報奨金は100万ユーロのチェックをThe Future of Childrenに与える。このThe Future of Childrenは誰かになるが、君達5人のチーム名だからな。唐突も何か腑に落ちないだろうが、良いチームであるとスペイン王室の総意から、命名はアルフォンソ18世が丹念に読まれた全報告書のヴァイスの祈り「始父、ジーザス・クライスト、最大のご加護を子供達の未来の為に、」の一文から拝借したから異論は無しだ。そもそも君達の個人名を一々出したらバルセロナの悪夢の一部始終の報道テープが流れてしまう、完全な配慮は必要だ。改めてThe Future of Childrenに感謝の意を送らせて貰う。スペインそしてユーロを救ってくれてありがとう」


 ここでアルフォンソ18世が立ち上がり、5人の後見人と共に清い一礼を貰う。そして続け様に英邁なアルフォンソ18世が労いの言葉を掛けた。


「マッドドッグの一連の事案、ここ迄手を拱いたしまったのは、私の不徳の致す限りです。ですが主は見放さなかった。最大の人材が悪夢まさかのバルセロナに集い、凶獣マッドドッグを倒せたのは、皆の抜群の功績があればこそです。何よりマッドドッグの跋扈の原因詳細が掴めぬ今では、このまま解散して良いチームとは到底思えません。このままユーロ何れかの国内に長らく滞在し勤しんで貰いたいです。そう、The Future of Childrenばかりと、やや納得出来ないのは、君達は実に慎み深いですね。当然バルセロナ自警団漏れ無くに、私アルフォンソ18世のバルセロナの治安の御協力何よりですの感謝状を発令します。表に出せない“カタルーニャの願い”の作戦上、ここはどうかご理解貰いたいです」


 俺は、この悪夢一連が深く長らく語り継がれるのならばアルフォンソ18世直筆の感謝状は大きな支えになると思う。ふとミアンにヴァイスに玄一に芍薬の横顔を伺ったが、その感謝状の懐の深さに納得はした様だ。ここが理解出来るのならば、俺地は本当に良いチームなのかと、ここでやっと安堵した。

 


 そうして、俺が代表してThe Future of Children名義の100万ユーロのチェックをアルフォンソ18世から直々に賜り、会談は和かに終わり、メインの夕食会に向けて控え室へと案内される。まあ報奨金は、自らの膨大な医療費を持つミアン以外は俺に任せるの一瞥で察した。控え室では、ミアンとは長い話になるなとうんざりしかけた所に、見開かれたドアの向こうには、いつもの御仁が朗らかに待っていた。俺としてはこちらでの話が本当長くなるのだが。

 青の略式正装の御仁は矍鑠たるミセス・ヴァルキューレだ。俺達の赤の対策委員会の上部組織fifthのメンバーで、各種調停役を一手に受け持っては、運営を潤滑にしてくれる。

 fifthの有り触れた名義上、一瞬で忘れ去る名前だが、知る人は震え上がる組織では有るらしい。5番の繋がりなら連鎖組織がある筈も、文献上探し出すのは困難と、インターン時代にヴァン・ヘルシング家の書庫全部漁ったがさっぱりだ。fifth即ちミセス・ヴァルキューレの変名かもしれないが、現在オルタナティブ最高年齢の351歳で有る事と、全ての婚姻から本名がやたら長過ぎて。一度聞いたが俺でさえも覚えきれなかった。これではユーロの全図書館巡ってもは探す術はてんで無い。

 もっともその人生を示す長い名前をもう一度なんて聞こうなんて、野暮な振りしても聞けるものでは無い。ここはミセス・ヴァルキューレから、とてもお利口さんねの笑顔で折あるごとに微笑まれる。ああそれと、ミセス・ヴァルキューレはミアン・マクリーンの実祖母に当たり、ミアンが実に淑やかになるのは実に良い傾向だ。そして早速の労いのお言葉を貰う。


「ごきげんよう。初めましての方がいますね。私はミセス・ヴァルキューレと言います。素っ気無い名前も本名はとても長いので各自懇親会でお話しましょう。そう私は各種相談役と認識して下さい。さて、アルマ・ヴァン・ヘルシング/ミアン・マクリーン/ヴァイス・ジーザス/黒田玄一/是永芍薬、マッドドッグの一連の事案実にお見事でした。私は各国の折衝を進めており、いざの表敬訪問が遅れたので悔いが残ります。ですが。アルフォンソ18世にお伺いした通り、私は良いお仲間かと思います。分かち得た絆は大切にしましょう。とは言え、100万ユーロのチェックも肝心よね。ミアンの様に無頓着でいざの大手術費500万ユーロに震え上がるのもそれでしょうから、私が先々の積立金として、80%をThe Future of Childrenの新名義口座から天引きさせて貰います。そうね残金はそこそこになるも、アムステルダム大学界隈に勤務するのであれば、十分な支度金になると思います。ここはそれで良いかしらね」

「ミセス・ヴァルキューレ、それは如何ですかね。何もかもアムステルダム大学一択は、関係者に気を使わせ過ぎます」

「アルマ、そこは問題有りません。ブリュッセルもヘルシンキも熱心では有りますが、私のベルリンの出城から遠くては目が届かなくなります」

「そこ、俺が無精だから、勝手に結婚されるのが嫌だからですよね」

「お分かりなら結構。一代目ヴァン・ヘルシングからはくれぐれも子孫の事は頼むと言われてますから、お構いなく行きます」

「そこは、」

「アルマ、大丈夫よ。ミセス・ヴァルキューレの本名に、ヴァン・ヘルシングもエイブラハムも愛称ルースの名前も無いから、ただのお茶友達でしょう。とまあ、私もダブリンもそろそろだったから頃合いよね」

「ヴァイス、あなただけね、私の本名全て言えるのは。そうアムステルダム界隈の勤務のお話は確定事項として、遠くよりのお二人の日本人ともなると、そうよね、報奨金が少なかったかしら。チューリッヒにはもう少しお小言言っておきましょう。スイス傭兵に注ぎ込むのもそこそこによね。部隊も必要では有りますが、ミレニアムのヴァンパイアのパンデミック未遂が今もしこりになっているのかしら」

「ミセス・ヴァルキューレ、その物騒なお話、俺は聞いていないような、」

「ミアン、宜しいかしら。あなたの生まれ持っての口の軽さは、何故アルマに隠し事するのかしら。私はそういう長所を消すのが好きでは有りません」

「ミセス・ヴァルキューレ、そこは絶対言えません。ヴァンパイアとは妥協付きの休戦協定です。ヴァン・ヘルシング家を、アルマを、いえアルマだけは聖戦に決して巻き込みたく有りません」

「ミアンは全く。ヴァンパイアを強敵扱いするのは止めておきなさい。あちらは長くて寿命が150歳、しかも普通に老化するとその肉体が陽射しを受け付けなくなります。恐れるに足りません。そもそもを申せば、そこまで恐れるなら、何故マドンナのパリのドラウンド・ワールド・ツアーで、アルマを若いヴァンパイア女子5人から守れなかったのですか」

「いや、流石に5人相手に、しかもあのパリのベルシー・アリーナの規模を考えたら、ヴァンパイアの集団の一体何百人と戦えと言うのですか」

「弱気は決して許しません。ミアンの潜在能力を考えたら、軽くいなせる筈です」

「いや、そのライブ何ですけど、俺凄いパリジェンヌにモテモテだったのですけど。ミアン待てよ、あいつらってヴァンパイアだったのかよ、」

「成る程。アルマさん密着されてはモテモテですね。どれも筋肉質だから、それ程舞い上がらないのが、実にお気の毒です」

「芍薬待て、何で俺のそこを読む。悔しいがつい医師の知識が先走ってしまうのは、違う、ミアンだ、何で入場前に白い目で見てたか、やっと分かったよ。と言うべきか言えよ、それを、全部だ、」

「言うも何も、アルマは次々後ろから抱きつかれては、アルマの首筋がっちりガブリの筈が、ヴァンパイアが不思議と牙を隠してしまうから、まあ良いかなって。アルマ、君は美味しく無い部類だから、ラッキーだったね」

「ミアン、お前は、」

「アルマ、ここは言っておきましょう。そこは連綿と受け継ぐヴァンパイアへの耐性ですよ。三代目のヴァン・ヘルシング迄の伴侶がトランシルヴァニア出身ですから、ヴァンパイアがうっかりアルマの血液を飲み干そうものなら、拒否反応で即死です。ここは呉々も言っておきますが、先代ヴァン・ヘルシングの何れも大恋愛の末ですから、完全なる拒否反応は更なる主のお恵みと言っておきましょう」

「成る程、俺も止む無く何れはルーマニアの美人さんと、生涯共にするのか。まあヴァン・ヘルシング家の血筋を守る為なら止む得ないか」

「アルマの乗り気で私の肩が軽くなりました。ただ、そこはミアンが凄く言いたげだから、管を巻くのを付き合う事ですよ」

「あーあ、がっかりだよアルマ。アムステルダムに戻ったら、日本の居酒屋上天で、朝4時迄コースの31のお小言で全部聞きなさいよ。もっとも、もう馴染みさんだから、仕込みの時間迄食い込んで午前9時迄コース、いいえセルフでも良いよって言われてるから24時間きっちり、いいえ緊急の診察なければ3日でも足りない位よ、分かってるの、ねえアルマ」

「おい、何でお小言が5個増えてるんだよ」

「アルマさん、そこは、フランス入国厳禁、ましてやの敵地マドリード派遣も厳禁、芍薬とは程々にはちょっと余計かな、ミアンやっぱり最高、ルーマニア美女は素朴だから決して面白く無い。ミアンは年上ですけどどうしても女子ですよね。これ私も付き合わないと何を言われるか気が気で無いです」

「良いじゃ無い、何か盛り上がりそうね。酒豪の私もさっさと荷物まとめて、アムステルダムに合流しないとね」

「俺だけ付き合わないのも何だな、さあ、いつにするんだよ」


 ヴァイスが早速堅物の玄一にハグしては、その塩梅はと、きつく抱きしめる。ミアンは芍薬に何で今言うのよも、可愛く怒りつつき合う程度でもう盟友だ。そこで俺はかになるが、ミセス・ヴァルキューレが近づき歩み寄り、ただ綻びながらも。


「アルマ。ねえ良いかしら。アルマのお見合いは、実は3件有ります。何れも才媛ですが、いざ会ってみないと深い相性は分からないものです。近いうちに御目通りさせましょう。楽しみね」


 俺の鼓動は確かに上がった、またいつもの厄介後有りきのユーロの長距離列車旅行なのか。どうせお相手もうんざりして、またの御良縁にしましょうとなるのに、ミセス・ヴァルキューレも懲りないものだ。いやしかし、きっといつか、ただこのThe Future of Childrenの出鱈目に、嫌がらず生涯ずっと慣れてくれるならば、それはそれで非常に有り難い最高の伴侶だ。その全ての過程を含めてが尊い愛ならば、俺はまた成長出来ると深く感じた。



  <了>

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