第7話

 えー、みなさんこんにちは。

 人生苦しいことだらけで、自殺しました。そしたら、「らんご」とかいうメチャクチャりんごに似ているものに転生しました。

 そして……。

 今、逃げています。

 いや、悪いことしたわけじゃないよ? 詳しくは長くなるから話せないけど……。

「はあっ、はあっ」

 一心不乱に走ったわけだけど、もう大丈夫かな……。

「おや、こんなところにらんごが」

 落ち着いた声。

 ヤバッ、逃げなきゃ……!

「ちょい、少し待て。お前」

「ごめん、じいさん! ボクちょっと急いでて……」

 ふり返って、謝る。って、あれ?

「誰がじいさんだ! 私は十二だぞ!」

「ご、ごめん。口調がじいさんぽいから……」

 黒と紫のローブに漆黒の服。首からは金色の丸いもの?をさげている。

 うーん。よく見たら、けっこうイケメンだな。

 サラサラな銀髪に、深い緑色の瞳。

「いや、でもなんでそんな口調?」

「? これが普通ではないのか?」

「いやw それじゃあ、中二病だよ」

 男の子は、首をかしげる。

「ちゅーにびょー、とはなんだ?」

「え。え、まあ……。その……病んでる人? うーん、なんて言った」

「なんだと⁉」

 「病んでる」の意味はわかるんだ⁉

「ああっ、右目がうずく……! 貴様の挑発で、我が封印されたし力が……!」

「うん、そういうのを中二病って言うんだ」

 軽くつっこむと、男の子はくわっと両目を見開いた。

「貴様っ。そんなにのほほんと笑っていられるのは今のうちだぞ! 私のうでは確かなのだからな!」

「へー。なんのうで?」

 男の子は、ふところから杖をとりだした。

「魔導師としての……だ!」

「ま、魔導師……?」

「そうだ。自らの意思で魔法を使うものを、魔導師という。……らしい」

 らしいってなんだ。らしいって!

 そんな自慢気に言われても……。

「ふーん。てか、なんか用があったの?」

 そうじゃなきゃこんな人、このまちに来ない気がする。

「ああ。実は依頼があってな」

「君、依頼とかされるんだ」

「失礼な! 私はりっぱな魔導師だ」

 口調にあわず、ころころ表情変わるなあ、この子。

「……はあ。取り乱してしまった。実はだな、最近このまちで起きている不可解な現象を止めてほしいと依頼されたのだ」

「へー。もしかして、さっき退治したやつ?」

「なぬっ? 貴様、なにか知っているのか!」

 知っているっていうか……。

 ぐぬぬ、とうなっていると、キラキラした瞳で見つられた。

「な、なんだよ」

「貴様、教えてくれぬか。色々と」

「じゃあ、ワードのとこ行こう。色々知ってるよ」

「おう」

 ボクが本来の目的(?)を思い出すのは少し後の話――。

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