第6話

 うん。なんでワードが親きらってたのか、わかった。

 ぶっちょうづらの、丸っこい婦人と、にやあっと不気味な笑みをうかべた男。

 そう、これこそが……いや、この人たちこそが、ワードの両親である。

「ワード。あんた、最近未確認のバケモノをたおしてるらしいじゃない?」

「ワード。お前、またそんなことをしたのか」

 待って待って。この人たちは、なにしにきたの?

「オレの親、自分より目立ってんのがいやなんだ」

 こそっとワードが耳打ちしてくれる。

 ……はああああっ⁉ いや、目立ってるのがヤダって! 自分の子どもより子どもじゃない? てか、それだけ言いに来たの? なになになに!

 すっごいパニックになっていると、さらに爆弾をなげこんできた。

「ワード、あなた、もう人助けなんかしなくていいのよ」

 ……は? あのー、あなたなにを言ってらっしゃるのでしょうか……。

「え、ちょっとまって。どういうこと? 母さん」

 ワードも困惑した様子で、たずねる。まあ、そうだよなあ。

「なにって。そのままだよ、ワード。おまえを危険な目にあわせるわけにはいかないからなあ」

 お父さんが不気味な笑みで、そう言うが、絶対うそだ。なんか、そんな感じがする。てか、ワードもさっき「自分より目立ってんのがいや」って言ってたし。

「大丈夫だよ、母さん、父さん。オレは全然危険じゃないから」

 にこにことそう言ったあと、ワードの手がボクにのびてきた。

 え、ちょ、なに?

「こいつもいるし」

「……まあっ。それは、らんごじゃないの!」

「それは……。こっちにわたしなさい」

 にゅっとお父さんの手がのびてきた。

 まってまって! なんでそうなるの?

「なんで?」

 ……ワード。よくその笑顔たやさないでいられるなって、痛い痛い! 強くにぎんないで!

「そんなもの、ワードが持ってたらそれを欲しがるものがたくさんでてくる」

「そうすれば、ワードも危険になるでしょ?」

 やばい。こんな人たちのところにいったら絶対危険だよ!

 逃げなきゃ!

 そう強く思って瞬間、

「「わあああああっ!!」」

 ワードの両親が目を見開いてこっちを見ていた。

 ……あっっ! 手足が、ひっこめていた手足がでてる。ヤバイ……よね?

「らんご、逃げろ!」

 はっ。そうだ!

 一心不乱に店を飛び出した――。

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