第4話 変わり始める塾漬けの生活

夏休みは塾漬けの日々だった。毎日Mの顔を見ておしゃべりして過ごしていた。辛いんだ、という話をした時に一度「スクールカウンセラーの人(専門の人)に話してみれば」と言われたことがあった。言われた時私は「Mがいないなら行かない、知らない人と同じ空間にはあまり行きたくない」と思っていたため行かなかった。軽い人間不信だったのだと思う。


夏休みがあと1週間で終わる、となった頃。私はMに手紙を書いた。実は自傷行為をしている、辛いと思うことが多くて何もかもが嫌になる、などたくさんのことを書いた。それを他の塾の先生に渡してもらうよう頼んだ。頼んだその日はMがいないことに疑問を持たなかった。しかし、ある日私は気づいた。この1週間一度もMを見ていない。1週間一度もMが塾に来ないことなんて1年間一度も無かった。何かおかしい。先生達のスリッパが入っているシューズボックスを恐る恐る確認した。


Mのスリッパが無い。 

もうこの場所に来ることは無いということなのか?もう会えないのか?

そう思い始めたら涙が止まらなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る