めがね

ペサカ

めがね

 私はある眼鏡を手に入れた。といってもこれはただの眼鏡ではない。とりあえず私は外に出た。そこにはいつもと変わらない風景が広がっている。眼鏡をかける。

 すると私の眼前にあるものは全てが一変した。家はなにやら奇抜な色をしたドーム状のものに変わり、電柱は大きな三角錐になった。そして行き交う人々は、いわゆる「宇宙人」のような風貌へと変化した。私は思わず声を漏らした。これは実に面白いと愉快な気持ちでしばらく散策した。

 ふと思いつきから行きつけの喫茶店へ入ることにした。例に漏れずこの店の風貌も違ったものとなっていたが、かろうじて扉のようなものは見つけることができた。扉を開けると主人らしき「宇宙人」が迎えてくれた。普段のように注文してみると、どうやら通じたらしい。でてきたコーヒーはいつも通りの味がした。しかし、なにか居心地が悪い。コーヒーを飲み干すとすぐに店をでた。

 外はいつもよりも輝いてみえた。気分も高揚してくる。ここは雑貨屋だっただろうか。いつもなら入ることはないが、なぜだか興味が湧いた。やはりここでも私を迎えるのは「宇宙人」である。

 驚いたことにこの店の商品は全て私好みのものだった。その中でも特に気に入ったものをいくつか買った。道端に落ちていた石が実は宝石であると知ったようだった。なぜ、私は今までこの店に入らなかったのだろう。全ては眼鏡の仕業である。

 ヘンテコな形になった家へと帰る。自分の部屋に戻り今日の収穫品を並べた。もしやと思い、眼鏡をとってみると、それらはガラクタへと変わった。しかし、不満は感じなかった。

 私は「宇宙人」であったのだ。

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めがね ペサカ @nishinoshini

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