第6話 うるさい奴と関西人
「…なんか変なこと言った?」
本気で怪訝な顔をされている。
まずい、このままではクラスの一軍ぽい奴にやばい奴認定される。
めっちゃ塩顔なのに名前佐藤でびっくりした、って正直に言うか。
いやいやリスクが高すぎる。
そもそも僕は初対面で名前をイジるようなキャラではない。
「めっちゃ塩顔なのに名前佐藤なの?!やば、それ面白すぎるじゃん!」
おい三木、なんでここにいる!
こいつが出てくるには最悪のタイミングすぎる、佐藤がそういうノリじゃない感じだったらどうす…
「フハハハ!えー、そんなん初めて言われたわ!オレ塩顔なんか、自分ではよく分からんな」
…ん?
「まさかの自覚なし?!塩顔の模範解答じゃん!」
「フハ!苗字につっこまれたの初めてやわ」
…んん?
なんかこいつら打ち解けてね?
…まあやばい奴認定は避けられたっぽいから一旦OKとするか。
「オレは三木!三木セイヤ!それでこいつはー」
「ゴサツくんやろ?今日朝三木がでかい声で言っとったの聞こえてきたから笑」
非常に最悪の事態だ。
これはもうゴサツが浸透していると思われている感じか。
「…い、いや、それは三木が」
「てか佐藤めっちゃ関西弁じゃね?」
そう、それは僕も気になってたところだ。
いや!今はそこじゃない!
他の連中はみんな一軍のノリに従うのがお決まりなのだから、佐藤が僕をゴサツと呼んでしまうとそれがクラスで浸透してしまう未来しか見えない。
「そうそう、中2まで関西住んどったねんな。家では関西弁やから未だに直らんのやけど」
「しかもめっちゃ身長高いな!説明会のときからめっちゃ目立ってたし!今もなんか見下ろされてる感すごいし!」
「フハ!そうやねん、家族みんな背高いからなー、まあオレが1番高いんやけど。小学生の妹も周りに比べてずば抜けとるし笑」
完全にタイミングを失った僕は打ち解けていく2人の平和な会話を聞きながらそろそろ諦めつつあった。
何をとは言わないが。
しかしそもそも三木も一軍よりではあるからその時点で僕の敗北は決まっていたのかもしれない。
そう考えるとなんだかどうでもよくなってきた。
まあゴサツでも頑張れば爽やかな好青年になれないことも…ないだろう。
「ゴサツくん、改めてよろしく!」
イケメンに言われるとそう変なあだ名でもないかと錯覚する。
しかし決して認めたくはないが「ゴサツ」が僕のコミュニティーを広げることに大きな役目を果たしたことには変わりない。
「おいゴサツ!授業始まるっぽいぞ!高校最初の授業はなんだ、英語かー!オレ割と得意なんだ!」
うるさいこいつに僕はちょっぴり感謝しなければならないのかもしれない。
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