第2話 観察

 

 不思議なことに中学時代に恋愛が充実していた奴らはこぞって成績が不振だったので同じ高校にはいないだろうという予想は的中し、運良く僕が合格したまずまずの進学校に同中の奴らは片手で数えるほどしかいなかった。


そんな彼らも特に友達でもなかったのでほぼ知り合いゼロからのスタートである。


この状況は僕にとっては好都合だった。


つまり、多少性格を明るくしたり雰囲気を変えてみても揶揄う奴がいないということになる。


ものすごく陰な考え方で我ながら恥ずかしいが背に腹はかえられない。


しかし明らかに高校デビュー感のある悪目立ちはよろしくないし別にしたくもない。


適度に爽やかな好青年を目指して…まあ一度くらいは恋人ができるなんてことも期待したい。




 春休みに行われた入学説明会にて、僕は頭頂部が寂しい校長の話や先輩の素晴らしい激励のお言葉は全て無視して周りの新入生を観察しまくった。


さすがはそこそこの進学校で、漫画によくいる目がチカチカするような髪色の生徒や、中学校にはよくいたあり得ないくらいスカートを短くする女子はいないようだった。


そもそも恋愛対象の相手がいないという最悪の事態は免れたと思え、割と受験勉強に勤しんでいた過去の自分を褒めたい。


怪しくない程度にキョロキョロしてみるとその辺に爽やかイケメンや顔立ちが整った女子は何人かいて、僕から1番近い席のイケメンは斜め前のさらに左の席で真面目に前を向いて学年主任の話に耳を傾けている。


目が大きめの二重でここから見ても分かる睫毛の長さ、これは王道のイケてるメンズだ。


見た目からして運動もできそうだしこれは100パーセントモテるやつ。


恐らく中学でもそこそこモテていたと推測される。



 次に目に入ったのは王道イケメンの2つ前の席で、周りより飛び抜けて背が高い男子。


イスに座ってもわかる背の高さはその辺の生徒もちらちらと横目で気にしているくらいだ。


背が高いだけでモテ要素の1つとしては強めなのだろうが、さっきトイレ休憩の時間に判明した事実、顔もカッコいい。


王道イケメンというより最近流行りの塩顔イケメン。


目はスッと切れ長でシンプルで洗練された顔。と、ついついじっくりとイケメン2人を観察したところで説明会が終了となり、女子の観察はまたの機会にすることとなった。


というか、なぜ僕はイケメンの観察をしているのだろうか。

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