第88話 おやすみおはよう

風呂から上がった姫さんは、何故か腰を抜かしてミズーリに引き摺られていた。

2人とも顔が火照っている。

うん、お風呂が気持ち良かったのだろう。

それ以上は考え無い様にしよう。

代わりに私が入ろうとするとミズーリが暴れ出した。

「こら、森の妖精。トールと一緒にお風呂入ろうとしても、そうはいかないんだから。」

そう言う事らしい。

腰を抜かした姫さんが絨毯に埋もれてぐるぐる目玉になったのを寝っ転がすと、虫取り網を振り回している。

何処から出したんだ?万能さんかな?

まぁいいや。お風呂入っているから静かにしなさいよ。チビおいで。一緒に入ろう。

結局、女神が目を回してギブアップした隙に森の人もお風呂に入って来た。

その時はとっくに上がっていたのだけど、折角だからお風呂に入って貰った。

チビも一緒に言ってらっしゃい。

ワン(しょうがないなぁ)


お風呂から上がると姫さんがあられもない声を上げていた。マッサージチェアに捕まっていたのだ。ミズーリは風呂上がりにミルクを飲みながら、チェアのリモコンを弄って遊んでいる。

「あまり姫さんで遊ぶんじゃありませんよ。」

「大丈夫よ。ミクなら喜んでいるから。」

「旦那様。姫さんじゃなくミクですわああああああ。」

余裕がありそうだからいいか。

「どうしよう旦那様。何か新しい世界が開きそうなのおおおおお。」

好きにしなさい。


さていよいよ寝る訳です。が、

「初めてなのでお手柔らかにお願いします。」

と、もじもじする姫さんが面倒くさくなったのでベッド付属機能の強制鎮静作用を最強にしてみた。ミズーリ共々一瞬で寝息を立て始めてくれた。便利便利。

と思ったら、あなたもですが森の人。

貴方にもじもじされても物理的にどうしようもないんですが。

同衾は構わないけど潰しちゃうのが怖いなぁ。という訳で、私の枕元に小さな手摺付きベビーベッドを万能さんから取り出した。

森の人は素直にベッドに入ってくれたけど、私の髪の毛を一房掴んで寝てしまう。

動けないじゃないか。せっかくミズーリが取り寄せた漫画を読みたかったのに。

仕方がない。大人しく寝ましょう。



朝です。

4人同時に目が覚めます。そういうベッドなので。

「旦那様。私、何も感じませんでした。」

姫さん涙目です。

何もしてませんですからね。

「そんなぁ。帝国皇女の初物ですよ。10代の肌の艶つるつるの、帝国人民垂涎の美味しい美味しいご飯ですよ。」

あゝ面倒くさい。

…ところで森の人がべったりくっついてるんですが。

「人外の存在だから、多分トールがくれる多幸感を味わっちゃったんだと思う。」

ミズーリが小声で教えてくれた。

姫さんには通用しなかったのかな?

「期待通りの展開にならなかったからガッカリして気がついてないんじゃないの?」

なるほど、むっつり姫さんか。

「何、旦那様とミズーリ様だけでピロートークしてるんですか。私も入れて下さい。」

「ん?単にね。ミクってむっつりスケベよねって話をね。」

「ななななななななななななななな。」

わあ、姫さんの顔が真っ赤っ赤だ。

「しょうがないじゃないですか。私だって普通の女の子なんです。興味津々な時間だってあります。なんなら今からでもどうですか?旦那様ミズーリ様。初めてだろうがなんだろうが受け入れてみせます!」

姫さんがどっかのへっぽこ女神みたいな事言い出した。

「どっせい!」

姫さんがパジャマを脱ぎだしちゃったよ。

ブラしてないし。

「ぱんつだって履いてません。準備万端だったのにぃ。」

もう好きにしなさい。私は朝ごはんを作りますから。

「キャー!ミズーリ様!嘘です。冗談です。そこはダメです。ギャー!」

おはようチビ。今ご飯をあげますよ。

え?なんですか、森の人。


お箸使えるから大丈夫、なんでもどんと来い。

だそうです。


そうですか。万能さん。

だったら遠慮なく、納豆付き和朝食でいきますよ。

「どんどんぬるぬるで攻めても良いわよ。」

ミズーリのリクエストが来ました。

なめこのお味噌汁とか、烏賊の塩辛とか作っちゃおうかな。

あ、姫さん全部剥かれてる。

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