第75話 ピザ
というわけでピザ作りです。
強力粉・薄力粉・ドライイーストでピザ生地から作ります。生地は丸めて発酵を待ちます。発酵し終わったら台に乗せて麺棒で伸ばして形を整えます。(万能さんが発酵を進めてくれるので、こちらに発酵が終わったものがありますの料理番組状態です。)
オリーブオイル、ピザソースを生地に塗り
トッピングはソーセージ、ピーマン、蕩けるチーズの定番をたっぷり乗せてオーブンイン!
生地に焦げ目がついて、チーズがドロドロになったら完成。カリカリなクリスピータイプは私が好きじゃないので、モッチモチなハンドトスの生地で。うふふふふ。
どうだ!女神ミズーリ!溶けたチーズは見た目から堪らないだろう!
あれれ?土下座しちゃった。
「トール、トール、トール。トールのドロドロした濃いの早くちょうだい。」
脳天チョップ!
まったく、冗談にしてもこの子は女神なんですから。
「ごめんなさい。あとでいくらでも土下座するし、全部脱ぐから早く食べたいの。」
脳天チョップ二連発!
落ち着きなさい。ピザだけだと栄養が偏るから野菜サラダを作りますよ。
茹で卵とブロッコリーと玉葱のマヨとホワイトソースのサラダです。
汁物はクルトンと細切りベーコンを浮かべたコンソメスープです。
デザートは熊本名物のデカカキ氷を用意。
久しぶりに食べる前からミズーリがぶっ壊れる料理になりました。
…この子本当にジャンク寄りの食べ物大好きだな。
「トールのせいだからね。」
それは、ごめんなさい。
満足度でほっぺたをまん丸にしたミズーリは、熊本天文館通りでお馴染みの白くて大きなカキ氷でアイスクリーム頭痛を起こし、のたうち回っていたものの、しっかり完食。
「まだ頭が痛いの。」
と言って、私の膝を枕に寝てしまった。
やれやれ。
暇つぶしに地図を開いた。次の峠が国境らしい。地図と地形を見比べながら、大体の道行を確認する。
「まぁ、こんな山の中で国境も無いわな。」
私はミズーリを膝枕で寝かせたままひょいと跳び上がるってみた。
おや、ミズーリに頼まなくても飛べるんだ。
何故飛んだかって。それはね。
私達が寛いでいたレジャーシートに、大量の火矢が突き刺さり、見事なキャンプファイヤーが出来てるからですよ。
微塵隠れ的に避けようとしたら、万能さんに囮を用意した方がいいと言われたので
テキトーなお肉の塊を置いときました。
彼らからは死角になる様、木の上でぷかぷか浮いて様子を伺っていると、立派な隊服を来た明らかに兵隊と思われる人達がやってきた。合計12人。
服はキクスイ王国軍とは違う黒を基調としたものだった。
「これか。」
「手配書通りだった。黒髪の男と金髪の娘だ。」
「呆気ないものだな。」
「所詮は、ただの親子連れだ。我が軍の監視・待ち伏せに気が付かなかった様だし。」
「命令を確実に実行する。徹底的にトドメを刺せ。」
「は!」
兵の内4人が、私達の偽の死体に更に油をかけ火を煽り、槍で私達を突き刺し出した。
そこにあるのはただの豚肉の塊だが、さすがに腹が立った。
ので、兵隊達4人を透明なドームで囲ってみる。
昔のロボットアニメに出てくる基地が張る、敵の攻撃に耐えきれなくなると、バリンバリン割れちゃうバリアをイメージした。んだけど、なんか万能さんが変だ。とんでもない硬度のバリアを張っちゃった。
驚いたドーム内外の兵が必死でドームを叩き出した。中の兵が必死で叫ぶが外に声が一切漏れてのない。
密封性が高いんですよ、水も空気も洩れません。宇宙空間でも使えます。
「隊長!ヘレン!バッキー!」
「ライズ!隊長!」
外にいる兵も必死にドームを叩き、中にいる同僚の名を叫ぶ。
こりゃ、その内窒息死するだろう。
と思っていたら万能さんがもっとエゲツない事を始めた。
閉じ込められドームの内側を叩く兵隊に火を燃え移らせたのだ。窒息と身を燃やす熱さに悲鳴と絶叫を上げる隊長とライズとバッキーと、あと誰だっけ。
残りの兵が必死で外から助けようとするも、ドーム内の兵は彼らの目の前で焼け崩れていった。
私はドームを解放した。
外にいた無事な兵達は怖々と、ついさっきまで同僚だった焼け焦げた肉塊を見ていた。
「た、隊長…。」
が、彼らは次の瞬間また驚かされる。
焼死した同僚達の肉体がみるみる修復されていったのだ。やがて全員が意識を取り戻す。
「隊長!」
「大丈夫ですか?」
「よかった。」
安堵の表情を浮かべる兵隊達だが、その表情は直ぐ凍り付いた。先程焼き尽くされた兵達の頭から炎が上がり、熱さと激痛の中で再び燃え尽きていったのだ。
隊長に抱きつこうとしていた別の兵も同じように火に包まれる。
兵達がただ呆然と見守る中、再び彼らの身体は復活し意識を取り戻す。
そして、息つく暇もなく再び身体が燃え始める。
死ぬ事も発狂する事も赦されぬ、永久に焼け死に続ける地獄の始まりだった。
生き残った7人は悲鳴を上げて逃げていく。
「待ってくれ。」
「置いていかないでくれ。」
5人は燃えながら、力尽きながら、復活しながら同僚達を追いかけて行った。
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