第61話 貝とキノコのバター焼き

ミズーリの身体に変調があったのは3回。

私へ宣誓してくれた時は別カウントとしよう。

アレは天界からの強制介入があった事をミズーリが認識出来ているそうだし。

2回目はミズーリがエドワード正規軍を全滅させた時。少し背が伸びた。

3回目は私が天狗のおじさんを大量殺戮した今日。少し肉付きが良くなった。

まだ2回しか経験していないから確定とは出来ないが、一応整理しておく。

あと万能さんの関わりの有無も関係ありそうだ。

「なるほど、人を殺せば殺す程、私のおっぱいが膨らむという訳ね。」

死を司る女神が物騒な事を言い始めた。

なのでマッサージチェアのバイブレーション機能を最強にしてみた。

「あひゃひゃひゃひゃひゃ。」

女神が恥ずかしい声が出して悶え始めたのを放置して晩御飯の準備に取り掛かろう。


鉄板をデデンと出して、食材を並べる。

キノコは椎茸、エノキダケ、エリンギ茸、シメジ。貝は牡蠣、蛤、アサリ、ホタテの剥き身。

野菜は青ネギ、にんじん、玉ねぎを。

カロリーたっぷりついで、汁物はベーコンのコンソメスープ。

うん、豪華だ。バターもたっぷり準備。

醤油、七味、塩胡椒はお好みで。

鉄板焼きだし今日の晩酌はビール一択!。

鉄板が温まって来た頃、マッサージチェアの魔力より食欲が上回った女神が脱出して来た。席に座る前にチビにフードをあげるあたり、まだ正気を保っているようだ。

バターを敷いて食材をヘラで炒めている私のコップに冷たいビールを注いでくれる。

ミズーリさん愛妻モード発動。

バターが冷えないよう鉄板の温度を下げて直接鉄板から箸で頂きます。

「美味しいの。どうしよう美味しいの。こんなに美味しいなら脂肪くらいどんと来いだわ。ごめんなさいトール。貴方の妻がぷくぷく太ってしまうわ。」

女神が太るという事は無い筈だが。

あとぷくぷくって形容が少し図々しい。


ミズーリが愛妻モードで食事の後片付けに入ったので、私は入浴モードに移行しよう。

チビがついてくるのは、水浴び(水遊び)が大好きだから。やたらと広い浴室だし、ビニールプールでも出してあげよう。

ついでに打たせ湯シャワーを湯船にも設置。

上から打たせ湯、腰にはジェット水流。

お湯は生薬入り疲労回復特別仕様。

うちの風呂はそこらのスーパー銭湯より上だな。万能さん特製なだけはある。

ぬるま湯プールに鼻先をつけて遊ぶチビも楽しそうで何より。というより、チビは私と同じ事をするのが大好きな犬なのだ。


部屋に戻るとマッサージチェアでパジャマ姿のミズーリが溶けていた。

チビを足元に放してあげると、マッサージの快感とチビを可愛がりたい欲求に身悶えし始める。面白い。

「トール。貴方ってサディストなのね。」

「ミズーリにだけ、そうかも知れない。」 

「どうしよう。私にだけって言葉にキュンとなってる私がいるわ。私にマゾの素養があるのかしら。」

私の思惑をきちんと分かっているチビが、弛緩し切ったミズーリのつま先をペロペロ舐め始めた。女神が絶句してしまったので、ほったらかしてみよう。

万能さんに交渉して、あまり健康に影響を及ばさないアルコールをという事で梅酒を出してもらう。

ゆったりのんびりリラックスしていると、チビを抱いたミズーリが涙目で抗議しに来たので、チビごとお姫様抱っこしてベッドに連れて行く。なんにせよ、そんな体調の時はさっさと休んだ方が良い。

ミズーリはたちまち抗議する気もなくなった様で、私の腕の中で真っ赤になっている。

いや別に何もしませんよ。寝るだけですよ。

「今晩こそはと期待したのに。期待したのに。」

いいから寝なさい。サービスで髪の毛を撫でてあげるから。

「髪の毛に性感帯が有れば幸せなのになぁ。」

変わらないね、君は。

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