第49話 今日は休日

徒歩2日が騎馬2時間で着きました。 

万能さんの馬くんもどうやら色々アレです。

任せとけご主人と、シュヴァルツの草原とは全然違う性格の馬くん、なんか面倒くさそうだったので、お帰り頂こうとしたのですが、

また乗って下せえ奥様、という挨拶にミズーリがやられて

「出しとこうよ、可哀想だよ。」

と、うちのチョロい女神は馬にまで口先一つでダウンさ、だった。

早速バンガロー改め私達の家を展開する、飼い葉と水を用意したけど、馬くんはそこらをブラブラしまっせって家の周りをのんびり歩いてる。

折角の湖畔なので、予備のテーブルセットを外に出す。テーブルクロスとターフも出してなんとも平和な昼。

ご飯の前に遊ぶ準備をしておこう。万能さん、竿とボートを。…カーボン樹脂で電動リール付きな竿と、FRP樹脂でエンジン付きのボートかい。天界が好きにしろと言うのなら好きにしましょう、ですか。

「どうせこの世界の人には何も理解出来ないわよ。」

まあねえ。

餌は擬似餌か、ルアーってこの世界で通用するのだろうか。

「魚がスレてないから有効かも。」

ならば釣れても釣れなくても、午後はのんびりボートに揺られますか。

ではミズーリさん。

「はい。」

いつもの日課といきましょう。お昼は何が食べたいですか?

「麺類ってまだ制覇してないのある?」

んー。ビーフンなどの米粉麺、冷麺、パスタでも麺という形ではないものがあるな。あとは素麺、冷麦。焼きそば焼うどんは粉物の時に作ったな。あとお鍋の見方蒟蒻麺。

「ビーフンで。」

ビーフンかぁ、料理した事ないぞ。お弁当やお惣菜で買う物だったし。ならばCMでお馴染みの焼く奴だな。水で戻してその水を切って、ネギ、豚バラ肉、ニラ、短尺にんじんと一緒に炒めて、調味料をパラパラ。

あれ、割と簡単だった。そうか、インスタントみたいな物だしね。味付けに使ったコンソメの残りでスープを作り完成です。

ミズーリはテーブルを叩いたりはしなかったが目を瞑って味わっていた。

あ、丸を頂きました。

「ただの丸じゃ無いから。二重丸。」


いつもの通り食休みをするミズーリは、後片付けをする私の隣に座って背中をつけてきます。

「背中合わせって、なんか憧れてたの。だって背中を合わせられる人って、本当に信頼できる人でしょ。」

恥ずかしい事を言ってくれます。

「私だってたまにはトールを搦手(童女全裸)からじゃなくて、真正面から口説きたくもなるんです。」

ありがとう。

「直球で返さないでよ。恥ずかしいじゃない。」

……

「だーかーらー。私は面倒くさい女じゃないの。そんなんじゃモテないわよトール。」

ミズーリにモテれば良いですよ。

「ー!ー!」

あれま、ミズーリが壊れちゃった。


午後はのんびりボートを出します。因みにエンジンは何馬力ガソリン駆動とか大層な物ではなく、私の意思が推進力になる反則な物でした。

湖の真ん中まで出ると釣り糸を垂らします。

勿論ミズーリと背中合わせです。

ミズーリはさっきから真っ赤になってて口きいてくれません。

まぁたまにはこんな日も良いでしょう。

とはいえ竿が直ぐに引っ張られ始めたら、ミズーリは女の子である事なんか忘れて大はしゃぎ。20センチ程度の魚を釣り上げる事に夢中になる。

「よっしゃあ、これで4匹目。トール、競争よ競争。負けたら背中を流すこと。」

それは一緒にお風呂に入りなさいって事じゃないですか。

「私が負けたらトールを全身くまなく洗ってあげるわ。」

だからねぇ。

「舌で。」

舌で⁉︎


釣果は私が勝ったが万能さん曰く、あまり美味しい魚ではないとのアドバイスで全部リリース。

魚がいないので勝負は引き分け。

「引き分け⁉︎。」

あれ?本気だったの?

「私が勝ったら私が気持ちよくなるし、負けたら私がトールを気持ちよく出来るし。誰も損しないじゃん。」

私の倫理観が大敗します。


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