第48話 モーニング食べて観光へ
私が入浴から出て来るまで、ミズーリはソファで私の本棚から適当に選んだ書籍を読んでいた。
なんとなく、だそうだが結構興味を持ったらしく私がベッドに入るまでずっと読みふけっていた。
そろそろ寝ますかね。
待ってましたと、ミズーリさんがすぐさま突撃してきた。私の顔を見てニッコリ笑うと、足を私に絡みつけ腕を抱き抱えたら直ぐ寝てしまう。普段が賑やかなだけに、置いてけぼりにされた気分だ。動けないし。
今日会った異能の者達を思い出してみる。
共通しているのは、どいつもこいつも私に丸投げしているところ。大体ミズーリも自身の運命だというのに、すっかり私に丸投げしているではないか。
私はミズーリのにミスで転生させられ、神々の我儘でミズーリ救出の為この世界に送られ、この世界の何かに何かを頼まれた、ただの元銀行員。
神から万能の力を与えられるも、別に特殊な知識や経験がある訳でなし。やってる事はご飯を作ってバンガローを拡張してるだけ。そういえばミズーリは私達の家と言っている。そろそろバンガローと呼べる規模では無くなって来たな。私も家と呼ぶべきか。
悩みは尽きない。と思った瞬間、万能さんが心配したのか強制睡眠に落とされた。
翌朝は、ミズーリの希望で喫茶店モーニングを作る事になった。さて困る。モーニングと言えば名古屋だが、私は一日中モーニングが注文できるドクトクな世界に縁が無い関東の人間だ。
なので、私の大好きな純喫茶風で行きます。
サンドイッチの基本はハムサンド、パンは焦げ目がつく程度に軽く焼いておきます。同じくハムとピーマンを具にしたナポリタンをちょびっと作りワンプレートに。木皿にはトマト、レタス、ツナ、スライスゆで卵を乗せてフレンチドレッシングで頂きます。ドリンクはホットコーヒーと100%のオレンジジュースを準備しました。
両手でカップを持ってオレンジジュースをごくごく飲んでいた小さなかわいい女神ミズーリちゃんが言いました。
「今日はどうしようか。」
私達は毎日どうしようと言ってませんか?
「ここは開き直った方が勝ち。観光と洒落込みましょう。」
観光ねぇ。
「ここから丘陵沿いに徒歩で2日ほど南下したところに小さな湖があります。」
あったね。地図で見てますよ。
「そこには普段人がいません。」
なんで?
「過去に鬼が現れた事があるから。」
縁起担ぎという概念がないから、単に怖がっているだけか。
「そこでお魚釣りとかしようよ。湖に二人でボートで漕ぎ出すのも素敵。王都にはいずれ向かうにしても、急がせるならまた連絡くらいあるでしょ。大体みんな不親切にも程があるわ。昔のストーリー一本道の反省から、やたら自由度の高いゲーム作ったけど、何をしたらいいのかプレイヤーが戸惑うだけで終わったゲーム。あれだわ。」
この子の知識はなんなんでしょうか。
「ぶっちゃけ、何があっても私達なら王都に急行出来るし。」
瞬間移動もお手の物ですぜ、旦那。
万能さんがおかしくなった?
まぁいいか。ご飯とDIY以外大抵は人を殺してるもんね私達。…気にするのやめよう。
という訳で観光に出発。瞬間移動は味気ないので、シュヴァルツの草原以来の馬を呼んで疾走します。
ななななな騎士のアリス嬢は元気だろうか。
昨日、私の正体は牛と白状した偶蹄目女神科ミズーリが私の腕の中ではしゃいでいます。
因みに馬車を出そうとしたのだけれども、ミズーリが二人乗りにこだわったので却下されました。馬くんも二人乗りくらい問題ないぜご主人!、との事だったので。馬くんに名前をつけてあげた方がいいかな。
というか人間じゃない皆様、自己主張強すぎ。
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