第46話 やはり不真面目な二人とあと一人
さて、一つの結論が(行き当たりばったりにと)出たので、次に私達がする事は。
「ごーはーんー。」
まだ夕方にもなっていませんよ。
「なーにーたーべーるー?会議よ会議。」
何会議ですか?それは。
「今トールは、私はごはんを食べて笑ってるのが仕事って言った!」
似たような事は確かに言いましたけどね。
「別に今食べようと言ってるんじゃないの。何食べるか決めようよ。」
なんですかそれは?
「何でもいいからトールとお話ししたいの。思い付いたのが、今日の晩御飯。」
たまにミズーリが素敵女神になるように、たまに私が真面目な話をするのが嬉しいみたいだ。
いやいや、明日からの指針は?直接王都に行くの行かないの?
「手掛かりが無さ過ぎて話を進めようがないもの。いつまでに王都に行けばいいの?」
さあ。
「だから明日の事は明日決めようよ。なら私達に出来る事は何か?それはご飯。」
ならばステーキで。はい決まりました。
「それは素敵な提案です。決まりました。
…ねぇトール。つまんない。」
困った女神様ですね。
「ご飯、お風呂、ベッド。全てがハイエンドの生活になりました。いつでも私とトールは結ばれて子供を二人作って、ねぇトール。最初は男の子を希望するわ。」
女神がどこかに行っちゃったよ。ミズーリ帰って来なさい。
「どうしようトール。私止まらない。助けて。私おかしい。」
いつもと同じじゃないかな。
「いつもより変なの。止まらないよトール。ミツルとミチルがお父さんお母さんって抱きついてくるの。」
空想の子供に名前までつけちゃった。
「ミズーリ!」
「何ですかお父さん。」
「服脱いでそこに土下座しなさい。」
「子供達が見てるわ。」
でも脱ぐんだ。
「初めて脱げと言ってくれたの。初めて私を求めてくれたの。」
これは本気で駄目な奴だ。おい、万能。
初めて万能さんを呼び捨てにして命令する。
そのままミズーリは寝てしまい、ソファで軟体生物になった。軟体生物の頭を私の膝に乗せて何をしよう。この体勢のままDVD鑑賞するしかないじゃないか。
困った。
暇つぶしにと昔のバラエティ番組のDVDをデッキに入れたら、飛び蹴りされるお笑い芸人じゃなくて白髭の親父が画面に映っている。
創造神だっけか。あれからまだ1週間くらいだっけか。だっけかだっけか。
あまりに破天荒な毎日で遠い昔に思える。
「ミズーリが暴走しているようですね。」
「天界が何か色々やってやるみたいだけど?違うの?」
「私は一応天界における最上位の神なんだけど、天界を私が管理している訳ではないんだ。天界は天界で独自の意志を持っている。」
さあ、訳の分からない事を言い始めた。神様の親分が、それもあなたは創造を司る最高神だった筈ですよね。
「いやトールこそ何をしているのかね。女神に永遠の愛と臣従を誓わせるものだから、いわば天界もおかしくなっているのだよ。神より上位な存在の人間って全てがおかしい。」
私はミズーリにご飯を作っているだけですよ。
「それでもだよ。ミズーリの成長が止まらなくなっている。先程のミズーリは自身の成長に心が追いつかなくなっていたんだ。
どうしよう。」
どうしよう。
「それで私は考えた。考えた結果、考える事を放棄する。」
おいこら創造神。
「トールに全部丸投げる。ミズーリを伽に呼んでも構わないと言ったが、今更もう何でもありだ。
本人が肉奴隷になりたいと言ってたな、好きにしろ。君は女神より上の存在なんだ。もう、君に頼る以外無い。天界は君の選択を歓迎し力を貸してくれるだろう。」
何だそれは。
「これが神だよ。ミズーリも言っていただろう。神々の本性を。私も今後どうなるか分からない。でも。」
創造神はニコリと笑った。
「君は選択を絶対に間違えない。それだけは私にも分かるんだ。だからミズーリを、私の可愛い娘を頼む。それだけだ。」
言いたい事だけ言うと創造神は画面から消えて、丸顔の年配芸人がステージを駆け回る場面に変わる。ミズーリは大人しく膝枕で寝ている。
みんな私に何を求めているんだろう。
あ、コーヒーが冷めちゃった。
…娘?
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