第19話 深夜の訪問者

晩御飯は翌朝を考えてカレーにする。それもお手軽に国民的カレールーを万能さんで調達して、ジャガイモ・にんじん・玉ねぎの王道な具に、肉は豚肉で脂身付きロースをとろけるまで煮込む事にする。

付け合わせはヨーグルトドリンクとワカメスープ、デザートにアイスクリームまでサービスだ。

匂いの段階でミズーリはテーブルをバンバン叩いていた。カレーの匂いって美味しいよね。

アイスクリームは彼女には大ヒットだった様で、私の分まで奪い取った上おかわりコールをし始めた始末。

私が前世で良く食べていた単なる市販品ですから、いくらでもイメージして出せますけどね。

でもミズーリ、君食べてばかりいると太りますよ。

「女神を舐めるな。神気以外の栄養なんか身体が受け付ける訳がないわよ。私も知らないけどどこか別空間で処理されるんじゃない?」

「女神様は舐めていませんが口の悪い相棒にはお仕置きが必要ですかね。」

はい、本日の土下座いただきました。

「あと女神は舐めていいの。むしろ全身くまなく舐めて下さい。」

前世にそんな風俗ありましたけどね。夕刊紙の広告で見た事あります。

だから、土下座から仰向けに体勢を変えない!スカートを持ち上げない!

「君は一体どうしたくて、どうされたいんだ?」

「何にも分からないから困ってるんじゃない。とりあえず今出来る事は全力でトールに媚びる事だけよ!」

女神が開き直った。

そんな日課と化した戯れあいの後、夕食の後片付けをしてバンガローに入った。

ダブルベッドにミズーリは一瞬固まっていたが、直ぐこちらに振り向いて微笑む。

「ありがとう。」

お礼を言われる事では普通絶対ないよね。

おかしいよね。


バンガローでは万能さんから出した炭酸飲料を飲みながら(ミズーリは最初だけ驚いたが直ぐストローをすかすかさせておかわりを要求した)、たわいもない話少しだけして直ぐベッドに籠った。

別に何をするわけではない。ミズーリが何もしなければ何も始まらない。

このベッドは特別品で寝ようと思った瞬間眠れる鎮静機能が付いていた。

そんなイメージ念じなかったけど、万能さんが私達の健康維持の為に勝手に付けたとさ。

万能さんはどこまでも万能でした。

ミズーリは私の隣で私を抱き枕にしながら直ぐ寝息を立て始める。

その顔は、なるほど幸せそうな微笑みが浮かんでいる。ならばヨシ。

一応ダブルベッド作成に躊躇はしたんだ。

私達は男と女で、ミズーリは身体は子供とはいえ知識と知能は大人だ。

私よりずっと物を知り物を考えて来た先輩だ。でも

ミズーリが受け入れてくれたなら、それは多分私の幸せなんだろう。人生が急展開過ぎて理解が追いつけていないか、ミズーリが言う様に私も彼女を信頼し切っているのだ。

まだまだ宵の口だろうけど、ランタンさんの灯りを絞り眠りにつく事にした。


二人同時に目を覚ました。ランタンさんが直ぐに明るくしてくれる。

「一人だけね。なんな凄い勢いで走ってくる。」

「普通に考えたら刺客という事では無さそうだな。」

私達は色々派手にやり過ぎている。

「感情は恐怖。女性よ。背後からは存在を感じない。」

「助けを求めていると考えるのが最適解かな。どこかでミズーリは何故服を脱いでいるのですか?」

「貴方の隣に居ていい女は私だけだからね。まずはガツンとお見舞いするの。」

「乳房もない、毛も生えていない裸の少女が私と同衾していればそりゃガツンとお見舞いされるでしょうけど、私も世間からお見舞いされるから勘弁して下さい。」

初めてトールに勝ったと宣言した馬鹿女神は素直に服を着てくれました。

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