Ⅳ章

第57話

「うわぁ〜風が気持ちぃ〜!」


馬車の中から顔を出して外を眺めているルアはとても楽しそうだ。


馬車に揺られながら俺らは次の旅の向かう先、カイマッド魔国に進んでいたのだった。


「あんまり急ぐ旅でもないけど、あっちから呼んでるんじゃ行かない手もないよな」


俺は馬車を引きながら乗客と会話をする。


「まぁレイン相手じゃし、特に気を配ることもないんだがのぉ」


「まさかスティールが"憤怒"と知り合いだったとは思わなんだね」


「…スティール…人脈が広い…」


「まぁ、クリエイターと芸術家は似てるようなもんじゃからたまたま会う機会があっただけじゃよ」


「相手がVIPなだけに驚きだよな…」


…一ヶ月前の事を振り返ってみよう。


【浄化】の副作用か何かで一時的(だと信じてる)で性転換してしまったギルマスから告げられたことはこの馬車旅の始まるきっかけとなった。


「依頼主の方は、世界一の魔学的芸術家のレイン様です」


「…レインじゃと?!」


「へーレインさんかぁ」


「え?何?知ってるの?」


芸術家って言ってるからそっちの業界に近いスティールは知ってたかもしれない人だけどまさかルアが知ってるなんて…


「…常識だよ…ケイト」


ラシュカも知っているようでかなりの有名人らしい。


「…教科書にも載ってるほどの有名」


まさかの偉人さんだったとは…


「常識からかなり離れた田舎で俗世に疎い生活をしていたもので…」


「そんなものかのぉ…」


「依頼対象者が現れた場合の言伝として送られてきている文言があるのですが…」


そう言って告げられた内容で仲間である確信が生まれる。


「『"憤怒"だ。取り敢えず分かれ。早く来い"傲慢"』というものなのですが…どういう意味でしょう?怒っているのでしょうか?」


…コードネーム的な使い方だから暗号として機能している。


「それは俺で合っていますね。…それでその依頼はどうやったら達成になるんですか?」


「…えぇとですね。カイマッド魔国のアトリエに行き、レイン様とお会いしたら依頼完了です」


「なんか終了の合図が曖昧なのだけど…まぁいいや。了解です」


「それと…今回は馬車などはお使いになられますか?」


「手持ちにないからなぁ…今後買っていくのはいいとは思ってたけど」


「それでは、ギルドからの紹介状で馬車を取り扱っている店に割引をつけさせてもらいます」


これからの旅は長距離がメインになってくるであろう。そうなってくれば、車があれば最高だが、この世界にそんなものはない。

ないものを望んだって意味はないのだ。

ならこの世界で車に近いものとなると、

馬車が必須となってくるのである。


しかし、馬車も車同様基本高い。

それを割引価格としてくれるのならかなりお得である。


「ありがとうございます」


そうして、ギルドから紹介状をもらい、大人数用の馬車を買った。


置き場所は【アイテムボックス】のお陰で困らないし、今後のメンバー増員を考えると妥当なものだった。


「…なぁケイト、ワシに少しだけこの馬車を貸してくれんか?」


「いいけど何するんだ?」


「なに。軽く調整するだけじゃよ」


そんな会話をしてスティールが馬車の小さな不備やタイヤの点検などの調整を行ってくれた。


…軽く新機能が付いているそうだが。

詳細は教えてもらえなかったのでそこまで重要なものではないのだと判断する。


ここから俺らの旅はようやく始まりを迎えるのだ。


俺らはどこにでも行けるんだ。


そう、どこにでもな。


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多忙過ぎて死にそうです。

まだ死ぬ気はないですが。



こっちの投稿は本当に極端になるでしょう!


既存に決めた投稿日にもう一つの方の作品を動かしていきます。


本当に多忙なんです…頭おかしい…

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