第45話
称号を一つ入れるのを忘れてました。
その関係で15話も修正しました。
(詳しくは「自由の翼」をⅡ章以降入れてませんでした)
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ルアの戦闘スタイルが気になったが
「本番までのお楽しみ」と言われてしまった。さっきも言ったけど俺の見立ては隠密タイプだと睨んでいる。
〜
「いいのか?工房内も見せてもらって…」
「いいんじゃよ。ここなら場所は割れないからな。それなりに大きいからここを大罪人たちのクランルームなんかにするのもありじゃよ」
工房内として機能している部分は掃除が行き届いていて綺麗だ。3階建ての山まるまる一つぶんにのびる地下が17階まであり、地上と地下合わせて20階分もある豪邸だ。広さも申し分なく、7人じゃ絶対に余る。…全ての部屋に誰かをあてがわなければいけないなんてルールもないからどうでもいいのだが。
「おぉ…工房以外汚すぎるだろ…」
「これは汚すぎだね…」
「言葉濁せよ」
非常階段のような作りの階段を下りて最下層に着く。地上に出ている部分はそれなりに綺麗だったのだが、地下に入ると景色が一変。
黒い瘴気を漂わせていて、埃が濃い霧雨のように視界を塞ぐ。ある種の魔界と同じではないか?
「工房以外使わなかったからな…全く触らなくなって20年は経つぞ」
いや、カガクレさんや。あなたいくつだよ…
若そうな見た目してるのに…あっエルフとかかもな。…いやでもエルフは鍛治仕事をすることを嫌うとかなんとかって聞いたことがある。エルフだとしたら今何歳なんだろう…
カガクレがじとーっとジト目をしてくる。
これは考えない方がいいっぽい。
「…これくらいなら」
突然ラシュカがぼそっと呟く。その呟きはみんなに聴こえていてみんなが不思議そうにラシュカをみた。
どうしたんだ?とみんなが首を傾げる中、
「【
魔法を発動していた。
【浄化】とは無属性魔法で、その名の通り、術者の周り、もしくは対象を汚れのない綺麗な状態にするという効果がある。他にもアンデットに対しては攻撃手段となる。
ラシュカから放たれた魔法は雫のようで、地面に魔法の光が落ちると波紋のように広がってゆく。波紋は波紋を呼び、いつしか立体的に広がっていった光の波紋は暖かった。
…光が消えると、部屋は先ほどまでの瘴気や埃なんてなかったように輝いている。
あまりの凄さにルアとカガクレは腰が抜けてしまったみたいで膝から崩れるように女の子座りしている。
ちなみにルアたちが腰を抜かした原因として、目の前の光景が一変したからだけではない。
「気持ち良すぎだろっ!」
俺もその気持ち良さにやられてしまうところだった。
「や、やばすぎじゃろ…」
「頭がホワホワする…」
ラシュカの込めた魔力の密度が濃すぎて【浄化】に当てた対象がこの部屋なのに対して、そこに居合わせた俺たちの体の外と中が綺麗さっぱり健康状態になったのだ。魔法の暖かさと全身がサッパリとする感覚の快楽に溺れてしまいそうで癖になる。
「…ふにゃあ…」
ラシュカも対象の例外に漏れず【浄化】を食らっていた。腰が抜けるのではなくて、体がふにゃふにゃになって地面に倒れている。
「お兄さんラシュカちゃん凄いことになってるね…」
「"傲慢"よ。早くあの娘をなんとかしてあげるのじゃ」
2人が頼むから断れない。断らないけど。
「ラシュカ〜大丈夫か?」
肩を軽く叩きながら生存確認を取る。
「ふしゅ〜…ふぁっ!」
俺の呼びかけに呼応するように返事をしたかと思うと急に顔を真っ赤にして熱そうだ。
「?」
心当たりがない俺はそのまま首を傾げることしかできないのだった。
(昨晩のことが頭に浮かんで…恥ずかしい…)
ラシュカはケイトの知らないうちに葛藤していた。
「少し触れるけどごめんな」
そんなことはつゆ知らずラシュカを抱き上げていわゆるお姫様抱っこをする。
「ぅっ〜〜!」
『女性への接触に対する免疫の弱いケイト様…というか晃様も成長しましたねぇ〜』
(こっちだって心臓バックバクなんだぞ?!結構恥ずかしいし!)
「嫁で免疫つけとけばよかったなぁ…」
思わず思考が声に出ていた。
けど、ラシュカはお姫様抱っこをされていることで頭がフリーズして呟きを聞く暇もなく気を失った。
「おっ…ラシュカちゃん可愛いですね」
「初々しいのぉ(あいつ嫁がどうたらこうたらって言っておったな…後でといつめるか)」
観客はあの光景を見て大層ご満足らしいです。
「ベッドスペースってどこにある?」
「地上2階じゃな」
「転移の扉みたいのはないのか?」
そう、ここは地下17階で最下層である。
「あんな技術増産なんてするもんじゃないわ」
「お前…面倒くさいだけだったりしないか?それ」
「…ナンノコトカサッパリジャ」
「おい"怠惰"」
やはりカガクレは"怠惰"の大罪を背負っているらしい。よく分かった。
「…まぁいいや。早く階段上って寝かせてやるぞ」
ラシュカは軽い。軽すぎる。
よくラブコメなんかで少し力を入れたら折れてしまいそうだって表現をよく目にしていたが、それを実感する日がやってくるとは…
どこにあんな魔力量が詰まっているのか疑問で仕方がない。
気を失っていたと思ったら今はすぅすぅと寝息をたてて眠っている。
(光の方が可愛いけどラシュカも可愛いな)
襲う気はないがな。俺は自分で言ってしまうがヘタレだからな!節操なしではないのだ!
階段を登ってた途中で別階層も横目で見てみたが非常に綺麗に浄化されていました。
ラシュカの魔法は高密度で広範囲という壊れ性能である。
苦もなく階段を登り切ってラシュカをベッドに乗せる。ぽふんと可愛らしくベッドに吸い込まれていくようだった。
「…さて、"傲慢"さんや」
「…さて、"怠惰"さんや」
俺とカガクレが同時に話しかける。
「まずはワシからだな。…先程に聞こえたんじゃが『嫁』がおるのか?主の体から女の気配なんて感じないのじゃが」
聞こえてたのか…ルアとラシュカは聞こえていないだろうから相当耳がいいとみた。
…色々と逡巡したが、結局俺の秘密を言ってしまうことにした。よくわからないが彼女は信頼していいと直感が言っている。それに加えて俺も人間だ。秘密を守り抜くことも大事だけど誰にも話さないのは何か悶々とした気分になるからたまには発散しないとな!
「…あぁ。嫁は居るぜ?この体だとないがな」
「…お主、憑き物か?」
カガクレの警戒レベルが上がった。
俺の正体がなんなのかを暴こうと真剣な眼で俺を見てくる。武器を隠し持ってるかもしれないな。まぁ、争いごとにはしないが。
「不正解。俺は人生が3周目に廻っただけだ。」
「3周目?」
「そうだ。1度目は此処じゃない世界で、2度目はこの世界のルマニア王国で、3度目が今だ」
「…もしや転生者なのか主は?」
「…正解だ。俺の称号でも見てみるか?」
「なぬ!称号を見せる異能でもあるのか?!」
珍しいものを見つけた時の興奮とした目はキラキラとしている。
「あっそうじゃん」
スキルツリーやら朱音さんからの個人情報は俺のユニークスキルなんだった。
あんま使ってなかったりしてたしで忘れてたわ。
今の称号はなにかなっと…スマホを召喚して、朱音と同期する。これでスマホを媒体として朱音さんの情報を見せることができる。
《称号》
「命知らずの転移者」「冬島光の夫」「結婚者」「禁忌に触れた愚者」「大罪〜傲慢〜」「運命に外れるもの」「命を投げ出した転生者」「現人の神」「自由のための翼」
「…本当じゃな。結婚者の称号があるわい」
「そっちかよ…転移者と転生者もあるだろ?」
「本当じゃ。今気づいたわい」
俺が独身かだけが気になってるなこの鍛治師め!
「これが一つの証拠だろ?」
「まぁ、信用するかは置いといてそうじゃな」
「簡単に信じろよ」
「まぁ、お主はカタルセニカ神との交流もあるから信じることができないわけもないのじゃが」
あのカタルセニカと話したことが仲間に対する信頼に繋がるのか…同じ神という存在を見たことがある時点でそれが確認のための暗号のようになっているのかもな。
「ワシですら独身なのに…」
「まぁ、2人だけで外との関わりが完全に絶たれてたからな。互いに互いの情報しかないんだよ」
「それで嫁のことしか考えてなかったら惚れてたとな?」
「…そういうことだよ」
なにこれめっちゃ恥ずかしいんですけど!
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