第44話

僕…明日から期末テストなんですよ…

4000字書く時間がありませんでしたorz

来週から!来週からはちゃんと(ちゃんととはいっていない)やるから!


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彼女…スティールの家は驚きの満載の造りであった。


ドアをくぐればそこは山の中だった。

…何言ってるかわかんないだろう。

だけど、本当のことなのだ。嘘は言わない。


スティールの話によると、この家は魔導具の一種で転移魔法を拵えていて、さっきまでいた裏道とどこかの国の山奥の本当の工房に繋がっているとのこと。


なんでもないように言っているが、転移魔法を魔導具は世界で初めての快挙である。本人は公表するつもりはないらしいが。


「…!」

この世界初の技術を前にラシュカがすごい興奮しているのが分かる。


「ここが本当の工房なのか?」


「あぁ、裏道に転移ゲートの対を置いたのも此処がバレないためだな。ゲートはワシか、権限者が魔力を流さない限り魔法は発動せず、空き家に繋がるだけじゃ」


「そんな熱意を持ってる奴が"怠惰"なわけあるかよ…」


「ワシはだらけるために本気を出すのじゃ。そこをぬかると必ず後に響くとわかっておるからな」


何か根本がずれている気がするが、気にしたら負けなのだろう。


「カタルセニカ神からの交神とやらでケイトの情報が得たときからすでにワシの怠惰生活が乱れ始めたのじゃ!」


なんか…申し訳ないことしたな…(遠い目)


「まぁ、それに合わせて主に合う武器を作ったのじゃ。だからワシの楽しい楽しい何もない平和な日々をすり減らして作った傑作じゃい。だらける方も楽しいが、作りたいと思えた武器を作ってる時の方がよっぽど楽しいのじゃよ。そこは感謝しとる」


その感謝は素直に受け取るのが正解だと信じておこう。


「って武器作ってくれたのか?」


「そうじゃよ。強欲たちがいるとは思っておらんからな主だけじゃが」


「ちなみに武器の種類は?」


「小太刀ほどの長さのものじゃ。本当は短刀も作ったのじゃが…主のそれを超える出来ではないわい」


俺の腰に刺してある短刀を指差して少し悲しんだ顔をしている。


「…いや短刀も使わせてくれ」


この短刀は武器チート級のヤバイものだが、

これだけで成り上がるのは俺の美学に反する。俺の思う美学は己を研鑽し続けて磨かれた実力を誇示させての圧倒的な力量を得ると言うものだ。


武器チートに頼ってばかりではいいこともない。武器チートが使えなくなった時に真に短刀を極めんとしておかないと戦闘に響く。


「…持ってきたぞ。これじゃ。このカガクレ傑作の『小太刀級刀 宵月』と『小刀 叶』じゃ。受け取れ"傲慢"」


「ありがたく頂戴するよ」


受け取った刀の頭身は暗く美しい。

カタルセニカから貰った鉱石を使って作り上げた特別製らしい。持っただけで武器に込められた気持ちの迫力が伝わってくる。極められた刀っていうのはこういうのを指すのだろうな。


「本当は『両斧 エビマル』でも持ってきてやろうと思ったのじゃが…生憎『片斧 アルス』は冒険者に売ったからな。あれはつがいが揃ってようやく真の力を発揮する代物なのじゃが…まぁ、冒険者には片斧で十分じゃろ」


…『片斧 アルス』?どこかで聞いたことがるんだよなぁ…思い出せないけど。


「俺は斧なんて使ったことないからこれが一番だよ。ありがとう、カガクレ…さん?」


「カッカッカ!さん付けなんて面倒くさいからな!カガクレと呼んでくれればいい」


わざわざ呼ぶ名前を変えるのはたしかに手間だ。これからはスティールと呼ぶ機会はあまりなさそうだ。


「ところで強欲たちよ。主らも武器が欲しいか?」


俺の見立てではラシュカはナイフ型の魔法杖、ルアが短剣の隠密スタイルにあった軽いものってところか。


「…私は今の杖の修理…強化をしてもらいたい…」


「僕は何もいらないな〜」


「ラシュカは分かるが、"強欲"さん?どうかしたか?」


「遠慮はいらんぞ?防具でも好きなものをやるというのに」


カガクレ無償宣言。仲間になる俺らへの思いやりが強い。


「ん〜でも大丈夫かな。僕には僕の戦闘スタイルがあるんだよ。今更変えるわけにもいかないし、…結構応用が効くいいモノなんだよ」


ルアはまだ言葉を繋ぐ。


「カガクレさんの武器も嬉しいけどさ、やっぱり僕は僕を貫かせてもらうよ」


その瞳はとても強い意志を感じた。

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