第43話
お手数ですが、1話の最後を見てもらえると幸いです。ここに書くよりも初めの方に書いてあった方が探しやすいので。
しばらく僕はこの作品しか書いていきません。それに伴い、今まで2000字程度の文量を毎日としていたのですが、これから(次話から)は2日に1回投稿するかしないかで、文量を1.5倍の3000字くらいにして投稿していきたいと思います。ボリュームアップを図っていきます。
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俺らは観光するとして、あてもなくとりあえずぶらぶらすることにした。
その1時間の中で俺は…
(誰だよこの体の童帝奪ったのは…)
全然楽しめていなかった。
国都は治安が良く、ひったくりがたまにあるらしいが、俺の場合は【アイテムボックス】があるから無関係のこと。
犯罪への不安がないこの頭の中は油断しきっていた。
前世は光と幸せに。
今世は浮気しないと決めていたから童帝のままでいようとしていたのに…何もなかったように振る舞おうとはしているけどすごい気になってきた。
「お兄さん大丈夫?何か上の空だけど…」
「………」
「あ、あぁ。大丈夫だ。問題ない。」
某イー◯ックみたいになってしまったがこれはあれと同じでフラグのようなものだ。
後で誰かから「神は言っている。此処で死ぬ運命ではないと。」なんて言われそうだ。
ラシュカが何も話しかけこないことにすごい疑念があるが基本は無口な女の子。喋らないこともあるだろう。
「お兄さんたちはさ、観光って言ったてどっか行きたいところがあるの?」
「…ないな」
「…ないです」
観光でぶらつくってそんなものだろ?
そりゃあ計画的にするのも楽しいだろうが、
俺は自由気ままという言葉が好きなのだ。
今は大通りをゆったりと歩いているが、
所々に怪しく光るような裏路地なんかがある。
「…え〜っとじゃああの裏路地でも行ってみないか?なんか気になるんだ」
特に意味なんてないけど、行ってみたいと思ったところを指さす。
ラシュカは首を縦に振って俺についてくる。
ルアは何か思うものがあるのか知らないが、
何か思案顔になっていた。でも、そんなことは杞憂なことで、さっきまで見せていた笑顔に戻っていた。
「観光の醍醐味は裏路地の隠れた名店探しなんだよなぁ…」
「そうかな?僕は有名店を回れるだけでも十分だけどね」
「なんかさ、皆んなの行かないところに行ってるっていう気分が好きなんだよ。男はな」
「そんなものなのかぁ」
男のロマンについて語ったところで裏路地に入っていく。
裏路地はいいものだ。
いつもは見れない景色が待ってるし、
ひっそりと佇む店は商売のためではなく自分の信念だけを貫き通そうとする名店もたまに見受けられる。皆の知らない店を知れたという感覚がとても自分の心を打つ。
大通りのような光で満ち溢れたところも美しいが、この裏路地特有の影のあるミステリアスな空気がとても蠱惑的である。
少し狭くなった道に昼間の明るさはなく、
薄暗い空間を建物についている灯籠が照らしてくれる。
「…おっ、鍛冶屋があるじゃないか」
「お兄さん武器ないの?」
「あるにはあるけどな…短剣しかいま手持ちがないんだよ」
【アイテムボックス】を漁ってみたが、短剣以外の武器は入れていなかった模様だ。
「武器も欲しいけど、ボロボロの防具も買い替えるなりしとかないと死ぬぞ…」
まぁ神だからそうそう死ぬこともないのだけどな。
店名は『カガクレ工房』といって…て、え?
「カガクレ工房?!なんでこんなところに?!」
「山里離れたところにひっそりと住む名匠だって聞いていたのだけどね」
「…じゃあ此処は偽物のお店?」
「偽物の武器なんて本物との違いが歴然になるから鍛冶屋のなりすましなんて愚かな行為にしか思えないのだけど…」
俺らがこの店に入ろうか議論し始めて少なくとも30分ほど経ったとき、不意に工房のドアが開いた。
「…なんじゃ?主らは。ワシの工房の前で突っ立っておって」
老人のような口調な、妙齢の女性がそこにはいた。
歳は20歳ぐらいだろうか、とても大人びていて美しい。
見惚れていたらラシュカとルアに思いっきりどつかれてしまった。解せぬ。
「…ぬ、お主はケイトという者か?」
?????なんで俺の名前知ってんの?
「は、はい。俺がケイトです」
「たしかに強欲と色欲を侍らせるほどの実力はありそうじゃな…」
「?なにか言いました?」
小声すぎてよく聞き取れなかった。
「何もないわい。…取り敢えず初めましてじゃな。"傲慢"よ。ワシは"怠惰"のスティールじゃ。よろしく頼む」
なるほど…ってまた大罪仲間かよ。
「強欲に続いて次は怠惰か…なんか運命的なステータスでもあったら俺カタルセニカにそこだけ弄られてそうだよな…」
探す手間が省けたが…なんで俺以外全員女性なの?ハーレムなの?ふざけてんのか?正妻いるのに?れっきとした元日本国民で一夫一妻の考えなのに?馬鹿なの?死ぬの?社会的に俺は死ぬの?
「まぁ取り敢えずワシの工房の中で話でもしようじゃないか」
『あの人…並の職人と比べ物にならない職人のオーラを感じます。本物ですよ彼女は』
朱音がそう言うんだ。本物と見て間違いがない。
俺ら3人は少し緊張した面持ちで工房に入っていった。
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