第28話

「…ってことはそもそも俺に拒否権はなかったってことか…」


声が出なかったことを怪しまれないために言葉を繋げる。ここで時間をとるのはいけないと感じた。


神様たちは俺の事情をかなり知っている。

けど、それは知っているだけでリアルタイムの俺の心情までは完璧には読み取れないと踏んだ。読心のような素振りこそはあったが、それこそ読心止まりの勘なのだろう。

あまり内情を探られまくるのは嫌いなんだ。

手の内を両者明かしてのWin-Winじゃないと…って神々の内情を勝手に喋られて俺に無理やり現人神にさせようって算段か…

それなら腹の探り合いをする前に負けてるってことかよ…


「まぁ〜そんなところぉ」


やはり気の抜けた返事をカタルセニカは返す。


「もし、ならなかったら?」


「最悪、地獄に逝って大罪であることに対する償い…つまり地獄巡り?を永遠とすることになっています。」


セシアが代わりに説明してくれた。

地獄行きってほぼ脅しだろ…


「てか、地獄についてそこまで知らないのかよ…」


地獄に関してだと曖昧なところがあるんだな。


「しょうがないじゃない〜私たちの監視範囲はあくまで現界までなのよぉ〜?地獄は貴方たちのいう閻魔さまの管轄だからあまり知らないのよぉ」


世界の管理の形も様々ってことか…

閻魔さまか…会ってみたいけど、地獄巡りねぇ…確実に嫌なことが起こるな…


「会ってみたいとか思わない方がいいですよ。一般人には基本まぁ、怖いっちゃ怖いですけど優しめですが、大罪持ちや、凶悪犯には容赦なんてものはなく、下手したら魂自体の消滅により貴方という存在自体がなくなる可能性があります。」


…また読心術かよ…やっぱり心読めてるだろアレ…


一度話を戻して、考えろ。

第一優先は光、その次に俺だ。


俺の願いは…いや、その考えは捨てろって…

…いや、まて、ケイトの知識に確か…



…あった。



「…現人神になってやるよ。」


「あらぁ〜本当かしらぁ〜」


あっちは俺の急な心変わりに疑問を多少なりとも持っているだろうがそこは無視だ無視。


「あぁ。条件付きだけどな。」


「何かしらぁ〜」



俺が出す条件。それは…


「神を簡単に増やせるのかは知らんが関係ない。俺が現人神になるんだったら光も一緒だ。それだけだ。」


これぐらいなら断ることも出来ないが、難易度は高め。それぐらいの丁度いいくらい面倒くさいことを押し付けたっていいだろう。


「…たしかに貴方の予想通りで神を一気に増やすことなんてできないわぁ〜…

けど、いいわよ。現人神に光ちゃんと共になる。それでいいのね。」


「あぁ。」


無茶振りも受け入れるとは、この話はかなり重要案件らしい。


「でも、そうは言ったって光ちゃんには誰かさんが何重も禁術を掛けちゃって神ちゃんたちもみんな干渉ができないのよぉ〜」


ぐっ…心当たりがありすぎる…

たしかにあの時は精一杯だったから…

なりふり構わず…と言いますか…

でも流石にやりすぎたのはわかってる…


「あんたらの力で俺を転移の館にトバす事はできないのか?」


それなら禁術も解術することができるかもだ。


「それは無理なのよぉ〜館とその周りは全て賢者ちゃんの管轄で…私たちが無理やり送り込むことはできないのよぉ〜」


なんと、神様に不干渉の場所を創りあげる賢者さまはかなりすごかったのかもしれないな…


「だから、素直に正攻法でしか辿り着くことのできない史上最高難易度を誇る「最凶の混沌カオス」なんて神々の間でも言われております。」


「現界の神が向かうことは出来ないのか?」


「残念ですが…混沌の中のモンスターは最弱種だろうとBランククラスからで、最弱種よりもSランクのモンスターの方が多いため神でもクリアすることはほぼ不可能としか言いようがありません。要は数の暴力には神にも勝てないということです。ですが、モンスターはあの混沌から出ることは賢者さまによって不可能とされているので世界が滅ぶことはありません。」


どうやらダメらしい。あれ?俺これ戻れるのかなぁ…


「…おっほん!取り敢えず話を戻そう!

現人神になるに条件はいるのか?」


「私が許可したらだからすぐよ。」


「今からできるか?」


「少し時間をもらうけどねぇ」


「どのくらいだ?」


「久しぶりにやるからねぇ…少なくても天界に五十年くらいはいてもらうかしらぁ〜」


「ごっ…」


一瞬でできちゃうものなのかと思ってたばかり少し驚きだ。


「じゃあチャチャっとやっちゃうからどこかで時間潰しててぇ〜」


カタルセニカが指を振ると俺の体が宙に浮き、扉の外に出される。

もう少し聞きたかったが…俺も早い方がいいからな。しょうがない。


そんなわけで現人神になるまでの間天界を満喫することにした。


あの後神殿を出ると少し、背筋が凍るような気配を感じ、後ろを振り向く。


「…なにもないか。」


改めてこの神殿を見ると少し不穏な気配を感じたのだった。


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すみませんが、諸事情3日ほど投稿しません。

延びるかも知れませんが、ご了承ください。

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