第27話
大罪は俺が地球にいた時からすでに取得していたスキルだと朱音は言っていた。
…こう情報源が朱音しかないのは少し心許ないな。もっと人脈を広げて見聞を多くしていくのも一つの目標だな。
「実のところ言っちゃうとねぇ〜あなたたちはそもそも地球に住むはずの魂じゃなかったのよぉ〜」
…?地球に住むはずではない?理解が追いつかない…
「晃さん、カタルセニカ様に代わって説明いたします。貴方たちが最初に住んでいた地球という惑星では様々な文化が生まれて、消えて、新しい文化がまた生まれて…そうして進化していったというのは当たり前なのですが、
その生まれていった文化に『神からの加護』なる力や魔法は空想のものばっかで生まれていない、いえ、あってはいけないものだったのです。ですが貴方たちは地球にいた時から神からの加護である称号…大罪に関しては若干違う部分がありますがそこは省きます。それを持ってしまったイレギュラーな存在だったのです。」
「それを神が世界に干渉して俺らを地球からいないものとしたってことか?」
「少し齟齬があります。」
「どこがだ?」
「神はこの件は干渉していません。世界が意思をもって地球ではない別世界に魂を飛ばそうと働いたのです。」
「…世界が?」
「内情を話すのは躊躇われますが、まぁ特別客ですから大丈夫でしょう。
私たち神が、この天界にいる意味をご存知でしょうか?」
「…わからないから推測で話すが、世界の調停を守ったり、世界の崩壊を抑制するための抑止力のためにこんな立派な神殿で働いてるのかと思ったよ。」
「…正解に半分まではたどり着いています。」
「へぇ、もう半分答えが足りないのか。」
「はい。その残り半分は…」
「えぇ〜い!ストップぅ〜!」
「もっ、もごぉ…な、何をふゅるんでひゅかぁ〜…」
セシアが口を塞がれた。
「晃く〜ん。これ以上は…だめよ?」
先ほどまでの口調がなくなり、目は真剣にこちらを見据えている。
(やっぱり…本性はそっちか…)
そもそも神のトップがあんなにお気楽そうなモノだったら恐らく神々内での内情も様々あるのだろう。いまこのカタルセニカが本当の顔で、いつものお気楽調子なものは自分の本性を隠すためか、いつも真剣だと疲れるとかそんな理由だろうか。
「私が足りない言葉を入れて最後に締め括るとするとぉ〜貴方達は本来地球に居るはずのない存在だったから別世界に弾かれるように飛ばされていて、アテもなくふらつく魂を私がこっちに手繰り寄せたということです!」
なるほど分からん。7割ほどは理解できるが、
さっきのカタルセニカの口止めで少し心に謎がこんがらがって縛り付けるように消えない。
「って、さっきなんとなく聞き流していたが、光にも大罪があるのか?」
「大罪かは分からないけど何かしらの称号は持っているはずよぉ〜恐らくだけど本人に自覚はないはずよぉ〜」
俺みたいな感じになんでもないただのワンシーンで解放されるかもしれないし、とても複雑な工程があるのかもしれない。今の俺には知る由もないが。
「さぁて質問タイムもキリがいいし、本題に移りましょぉ〜」
…さっきの話題から逃げるためだとしか思えない話の逸らし方だ。まぁ、本題が元々聞きたかったものなのだからここで下手に動くとまたはぐらかされるかもしれない。あちらから言おうとしているのを遮るのも忍びない。
「貴方、神にならない?」
口調をさっきの真剣なものにして真っ直ぐな瞳で俺を再び捉える。元々あった神々しさとプラスになって、先ほどまでの態度を忘れてしまったような威厳があるように見える。
「いきなりすぎるし、やだ。」
こちとら(多分)あんたらが思っているより捻くれてる性格してるんだぞ。相手がそんなに真剣に言ってこようとするならこっちは気軽な口調で返してやるよ。
カタルセニカは予想通りの展開だと言わんばかりに余裕がある。
「理由を聞かせてくれない?」
「俺の当面の生きる意味は光と共に生きることだ。スローライフしたり、2人で探検したり、みんなで楽しみを分かち合う。そんな人生を送るために俺は生きるんだ。こんな天界に縛られたくはないな。まぁ、天界を冒険できるってのも魅力的だが、それだけでは不十分なんだ。俺の欲求が満たされることはないだろうよ。」
「…なるほど。じゃあ現人神ならどうだろう。」
「現人神?」
「うん。それならば、寿命を気にせず世界中で冒険できるじゃないか。」
「はっ、残念だな。俺はハイエルフだぜ?元々寿命がとても長いから気にしないものとして関係ないんだよ!」
「晃さん。貴方の元々の人種はただの人間種です。たとえハイエルフの器に入ろうとも、多少の影響は受けますが、それも些細なものなのですよ?貴方の体はハイエルフに限りなく近い人間のようなものです。多少周りよりも寿命は長いですが、本来のハイエルフの半分も生きることはできませんよ。」
セシアの方が俺について詳しいんじゃね?
「貴方の気にしていなかった問題が浮き彫りになったわね。」
「うっ…」
「そもそも貴方は私たち神に今、近づきすぎてるのよ。私たちから近づいたとなると、これは人間の器ではいけないの。神になろうとする強欲さがないのが少し見直しちゃったけどね。」
違うんだ。違うんだ。ただ、俺の願いは…
言おうとした言葉は何故か喉を通ってくれなかった。
----------------------------
夏休みが終わるとそのまま期末テストがあると言う事情だったり、機材の調子云々だったりと、投稿がいちど空きます。(夏休み中はなるべく投稿しますが、勉強の把握している範囲の網羅している量によります。その時はまた報告すると思いますので。)
頑張ってきます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます