第18話
「ねぇ君。一緒に冒険しないかい?」
イケメン君から唐突に誘われる。
これから面倒くさいことに巻き込まれていく自分が何故か容易に想像できていた。
同時にその運命には回避する術がないことを悟る。予測ができているのに回避ができないとか俺は馬鹿なのだろうか?
その可能性を否定するとするとやはり俺にかかった呪いが関係しているのであろう。
「波乱の呪い」なんていう呪いを転生した時の代償の一つとして貰っちゃったから
何かしらの展開の一つや二つはあるだろうと予想していたためあまり驚くことはなかった。
だからといって突然が過ぎるのだが。
「急に何ですか?俺はあまり強くないですよ?」
何かしらの強さを買われたわけではないのだろう。こんな見ず知らずの俺を誘うなんて何か特別な理由があるはずだ。
「一度だけでいいんだ!いつもどんなことにも無関心なラシュカが君に興味をもったんだ!こんなことはこれまで全くなかったんだよ。だから君には君にもわかっていない何か特別な力が眠っているはずだ!だから一緒に依頼を受けてみないか?」
ラシュカ…あのクールな子か…
あの子が俺に興味を?何でだ…もしかして鑑定系のスキルでももってるのかも…
ユニークスキルがバレたら面倒ごとが増えるな…
この人生で俺は本当に信頼し合える仲間をつくることも大事なのだ。それについての理由は色々ある。
そう考えると、とりあえず主人公君についていって人脈を広げるのもありだな。
「依頼の報酬を1:3の割合で分けてくれるのならいいだろう。」
「本当か!ありがとう!…ラシュカ!ロゼア!来てくれ!」
話がまとまったのを確認して主人公君はチームメンバーである2人をこちらに呼んでくる。
最初、先輩に見せた落ち着いていて冷徹のような動きとは別物の明るめの人間くさい心があることに少し安堵する。
「アレク!呼んだ?って誰ですか?あなたは?」
無邪気な美少女が俺に少し疑うように視線を向けてくる。少し怪訝な顔をしている。
この子はラシュカって子ともう1人ってわけだから…ロゼアという子か。
「この人には一度俺らのチームに入ってもらって依頼を受けてもらうんだ!」
「何でそんなことをするの?さっきこの人はアレクに守られた人でしょ?あの冒険者に殴られそうになっていたのに動けなかった人が一緒に魔物討伐出来るとは思わないわ」
守られた…ねぇ?別に食らって痛くないだろうから動かなかっただけなのにな。
誤解されているが説明するのは面倒くさいから説明はしなかった。
「そうかもしれないけど、彼は先輩のなんだよ?この近くの魔物くらいは軽々倒せるだろうから血抜きとか基本をを教えてもらいたいんだよ。」
ラシュカのことは話さないのか…少し事情があるのかもしれない。下手なことは喋らず上手く活動しよう。
「ふーん。」
少しは納得してもらえたようだ。
そのときのラシュカは俺をずっと見つめてきて無言で心なしか目をキラキラさせている。
「依頼は何を受けるつもりなんだ?」
「えぇっと…このリザードマンのやつかな…」
アレクが選んだのは人の形をした蜥蜴のようなモンスターを12体倒すといった内容のものだ。
初心者からすると少し難易度が高いと思うが、俺がいることだ。なんとかなるだろう。
「アレクがいけるならいけるね!」
何をいってるかは知らないが、ロゼアはイケメン君ことアレクに絶対の信頼を置いているようだ。ラシュカは何故か俺のことしか見てないけど。
そのあと、少し作戦を話し合った。
その結果、俺が最初に奇襲を仕掛け、アレクが前衛で戦う。ロゼアは魔法壁という魔法が得意らしいので、後衛の魔法での援護を担当するラシュカを守る。といった構築になった。
俺が初撃をすることにしたのは、
スキル「隠密」があったからだ。
これから先、禁術の研究をしてるときに騎士団(地球でいう警察)から逃げるときに使えるからな。…ちなみに禁術はその名の通り禁忌とされているぞ。
閑話休題。
俺らは街の外壁を出て目的の森に入る。
昼間を少し超えているのに森の中は薄暗く、
不気味な気配を漂わせていた。
俺らは所々にある木漏れ日の中を通るように奥に進んでいく。
ある程度進み終わったところで俺は複数の気配を感じる。
「よ〜し…人生初戦闘だ…」
そう呟き、アレクたちと話し合って決めたポーズで相手を知らせてから俺はスキル隠密を発動させる。
一度視線を話すだけで先程まで見えていた姿が朧げになり、何もいなかったような無の空間が広がる。
相手はリザードマンが…って!
ここは集落か!50体は軽くいるぞ!
リザードマンは仲間でまとまった土地に住み着く事が多く、集落がよく見つかる。
今回見つけたのは中くらいの大きさの集落だが、初心者からしたらかなり敵数は多い。
鎧をつけたやつや身軽な格好をして槍を持つ個体など、それぞれの特徴がある。
集落の長は外には出ていないのか姿は見えない。気配探知を使ってみると…見つからないな…どこかに出かけているのかも。
今回の戦闘は、長がいないなら難易度は下がる。数は多いが、遠距離で魔法を打つ事ができるらしいからかなり善戦できる事だろう。
そういうわけで…あいつらの実力も知りたいし、少し遊んでみるか!
人生初戦闘は豪快にやることにしたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます