第13話
「またな」
完成した魔術式を発動させる。
周囲には溢れんばかりの魔力が漂い、純白の輝きと幽々たる暗闇が交差する。
不思議な空間が織りなす奇跡は体感する時を伸ばし、短い時間を永遠として感じさせる。
それは一時の別れを惜しむ俺の願望なのか、
はたまた…なのか、しかし前に進まねば、彼女は悲しむのだろう。
輝きが収まろうという瞬間、空間が弾ける。
「っ…!リバウンドだ!」
脳に危険信号が伝達される。
『大変です!リバウンドが…晃様と光様、両者に帰っております!』
…え?ってヤバイヤバイヤバイヤバイ…最悪の…いや完全に予想外の事態だ。リバウンドが俺にくる確率が高いから俺だけにかかると思っていたのだが…カミサマ俺を嫌ってるのかもな…
「リバウンドの詳細は?!」
『…確認しました。リバウンドの効果は…』
『光様は他の宇宙の惑星への転生を、晃様はこの「ラプサルカ」の人間種に転生をされます。』
…他の宇宙…だって?!
この世界「ラプサルカ」なら少しの希望を持てるのだが、宇宙空間によって隔てられる壁はデカすぎる。せめてそれは阻止しなければ…!
「リバウンド開始まであとどのくらいだ?!」
焦るな焦るな焦るな…落ち着かなければ…思考をまとめろ…俺の100%以上を引き出せ…!
『開始まであと3分程です。』
「それなら間に合うか…?」
俺は今、禁術を使用したことで体内の魔力をごっそりと失っているが、そんなことをお構いなしに魔術式を組み立ててゆく。
『何をしてるのですか…!』
「光に…俺ができる最後のマジックを見せるんだよ…」
幸か不幸か、体内魔力はなくなったが周りには大量の魔素が立ち込めている。それを体内に取り込みながら素早く、正確に術を完成させる。
「これは体外に影響を与える魔術じゃない…下手したらこれも禁術扱いだろうが…まぁいい。光…少し、ここから動けなくなる。だけど、待っててほしい。絶対に、戻ってくるから…」
『…っ!なんですかこれは!先程の禁術との魔力量が桁違いですよ!』
「あたりまえだっ…これは魂に干渉する魔術だからな…」
基本この世界は「魔法」が一般的に使われているが、俺みたいな少し道を踏み外したやつとか魔物なんかは「魔術」を使う。
二つは少し違うらしく詳しくは知らないが細かい線引きがあるようだ。
そして、これは朱音すら知らない。なんせこの魔術の知識は今、頭に流れ込んできたものだからだ。
小さくない希望をそんなポット出の知識に預けたくはなかったが、やるしかない。そう直感した。
一つ大きな魔術式を組み立てると、その上に何重になるかわからないほどの魔術式を上乗せする。どんどん知識が流れ込んでくる。
どうやら一つだけでは不完全らしい。
『これは…二重術式はこの世界の賢者が成し遂げた偉業とされていたのに…これは十重を超えている…』
なんか今更だが、朱音さん…感情が芽生えているな…おっと、気を散らすな…集中集中。
あと…20秒ほど…
落ち着いて魔術式を完成させろ…
…あと10秒…
9秒…
8秒…
7秒…
6秒…
…よし、完成した!
5秒…
光が弱々しくはにかんでくれた…気がした。
4秒…
3秒…
2秒…
1秒…
さて、これから忙しくなるぞ…
0秒。
眩い光が俺と光を包み込む。赤、青、白、黒、緑…さまざまな色が俺らを包み込む。
邪悪にも、不気味にもとれるその輝きは、
息を呑むほど美しいと、思ってしまったのだ。
体周りには不思議な円が描かれていく。
円には何かしらの術式が組み込まれているのがわかる。
意識が刈り取られそうな感覚を覚えて俺は
「バイバイ。またな。」
そう彼女に告げると、突如俺から放たれた不思議な発光を俺が知覚した瞬間…
意識を手放したのだった。
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これにてI章終了です!
(言いたいことを言うだけのあとがき)
もう少しバランスを考えて書いてければいいのになぁ…_(┐「ε:)_
本編をもっとボリューミーにしていけよう努力します。
II章からは一度光さんはお休みになります。
この次に間章を書くのですが、それで一度出番はなくなります。
3年後…と時の流れを足早にした分は取り返すつもりです。
次の章でようやくタグ回収ができますね…
次の「転生編」を楽しみにしていただければと思っております。
できれば、フォロー、♡、レビューにコメント等よろしくお願いします。
コメントは全て返していく予定です。
読んでくださいとおっしゃってくれれば読みに行って、コメント等残していきますのでよろしければ…
ではでは〜(あれ?あとがきめっちゃ書くやん)
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