# 20






構えるたび震える手元。








定まらない照準しょうじゅん








だんだんと、肩にも腕にも力が入らなくなってきていた。








ダメだ。






諦めるな。




何をやっているんだ・・・







自分の体なのに・・・







いう事を聞け!!!







どうして力が・・・・




入らないんだ・・・・







諦めるわけには・・・・







いかないのに・・・・











こうなったら・・・・!!


もっと距離を詰めるしかない・・・












桜の木の上から弓を射る事を諦め、飛び降りた。







すると、





桜の木から新たに生み出された矢は、








これまでの細く鋭いものではなく、








今の自分には弓では射る事の出来ないほどの








太く大きく、とてつもない重さがあった。









あぁ。








きっと、こういう事だろう。






すんなりと理解ができた。











この桜の木がさずけてくれたんだと。









これが・・・





力を持った者の役目。









まだ彼らには及ばないけれど・・・・











僕も数字ちからを有している人間なんだ。








今、僕に出来る事。






僕がやるべき事。












矢を両手でしっかりと抱え上げ、握りしめ







僕は魔の物へと向かって






全足力で駆け出した・・・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る