# 21

けっして飛び込んだもやの中・・・!!









魔の物の瘴気しょうきが一層濃くなり、








自分でも、目を開いているのか、







それとも恐怖心に飲まれて


しっかりと閉じてしまっているのか


わからなかった。







もう自分の体は、



どうにかなってしまったのだろうかと、




感覚などわからなくなってしまうほどの





距離にいるのだろうかと





そう思った矢先・・・






無数のするどい光の矢が迫りくる。






真っ白く、暖かい空間に包まれた。





目の前は、白一色。























あ・・・・れ・・・・?






魔の物へ向かって、走っていた  



はず・・・。








自分の足は・・・



動き続けている 



はず。






僕は今・・・





走って・・・





いる・・・はず・・・











鹿もーーーーーーん!!!!」





「どきな! クソガキ!!!」





「止まりなさい!!!!」










ズサァッーーー!!!!






突然頭上から降ってきた複数の怒号どごうに驚き、








足がもつれて豪快ごうかいに倒れこんだ。






て・・・。」












これは・・・全身を擦りむいた・・・。










何とか頭を上げて、上空を見上げてみる。





白く眩しい空間の中、時折いっそう光る箇所がある。








何がどうなって・・・?



ここは・・・?






あの声は・・・?








確かに聞いた・・・?






魔の物は・・・






どうなった?











ぼーっと見上げたままでいると突然



首元を後ろから思い切りつかまれ、



僕の身体は引きずられるようにして後退しだした。






僕「え?





  な・・・なんだ?!」












「なんて無茶を!」





「君はどんな教えを説かれたんだ?





 高位の数字ちからの保持者でなくては、





 魔の物に近づくことはあってはならない!





 後方にて援護だと教わらなかったのか?」





「君はいったいどこの里の者だね?





 何を考えて・・・はぁーまったく・・・」








ひたすら説教をされながら引きずられ、





気づいてみれば濃く灰色がかった景色は薄まり





いつも通りの、川岸の道。














魔の物は、欠片一つ残らず消えていた。







そして







友の姿は
















ない。






続・・・・・






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