#   18







「ぐす・・・








 ずびび・・・








 あぁ・・・








 泣いている場合じゃない・・・








 はぁ・・・





 


 桜だ!








 桜の木へ!」






 喉が痛む





 視界が涙でぼやける





 鼻水だって止まらない


  


 息が苦しく





 呼吸が整わない。








 けれど、今はそんな自分のグラついて定まらない心情を





 気にしてはいられない。










 彼は、友は 





 今一人





「闘っている。」





 僕は桜の木へと走った。














 この世の物とは思えないほどの大きな桜。








 枯れることもなく、舞い散り続ける花びらは、



 手に取ることが出来なかった。



 全て妖力によって作りだされたもので、



 手に取ろうと、触れると消える。










 まるで足場のように生える太い枝を上り、







 里の方を見る・・・・







 何度も袖で目元をぬぐい、しっかりと目を凝らす。












「見えた!」






 彼はまだ闘っていた。









 身体が・・・・・・




 魔の物の瘴気を浴びて、黒くなりつつあった・・・・。








 急いで護符を手に取り、弓を構えると、





 桜の木から突然枝が生え、矢の形へと変形した。








 とても軽く鋭い、柔らかな光をまとった矢を弓に合わせ、










 そして、放つ。







 想像していたものより遥かに現実離れした速さで矢は飛び、





 護符により増幅された白い光の波動はどんどん大きくなる。







 「当たってくれ・・・・・・!!!!!!」







ザシュツ!!!!









 矢に気づいたのであろうか、





 あちら側で友が放った呪詛じゅそが発動し





 魔の物の胴体の一部が消滅した。







 「良しっ!!!!!!」






首元の数字は""ではなく""になっていた。













 しかし、実践経験のないせいで





 魔の物の負傷箇所がはっきりとは見えない。








 どこを狙えば、友の助けとなるのか・・・・





 魔の物の動きを確実に止めるには・・・・








 どうすれば・・・・・?









































続・・・・・・






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