# 16






・・・。











もうかなりの距離を走ってきた。


日々、体をきたえておいて良かった。























二人を背から降ろし、説得にかかる。





























「いいかい?





  この先を真っ直ぐ、




  ゆっくりになってしまってもいいから、




  どんなに疲れても、




  小さくてもいいから、




  1歩たりとも、




  決して歩みを止めないで、




  進むんだ。




  次の夜明けが見えるまで。」








弟「次の夜明け?お日様が出るころ?



  真っ暗になっちゃったら怖いよ・・・。」








僕 「大丈夫だよ。君たちは一人じゃない。




   真っ暗でも、道は真っ直ぐに続いている。




   お日様が見えるころには、




   が・・・



   見えるはずだから。



   そこで、君たちのお兄さんを待つんだ。いいね?」








妹「でも・・・」











僕「この明るいうちに、




  1歩でも多く歩けば、




  人里へ、もっと早くたどり着ける。




  真っ暗闇の中、




  歩かなくちゃいけない時間の長さが、




  短くなるんだよ。」








僕「僕は君たちのお兄さんに、


  君たちをどの里へ向かわせたかを伝えに行く。





  それぞれに、出来ることをやろう。






  君たちは、里で待つ。


  僕は、きっとお兄さんを連れて君たちの元へ行くから、


  必ず会える。大丈夫だ。」











妹「うん・・・」





僕「君たちは一人じゃない。



  手に手をとって。



  絶対に離さないで。



  ただ真っ直ぐに、進むんだ。」














妹「わかった・・・。」





弟「にぃちゃんと、早く会いたいから・・。」





僕「よし。それじゃあ。」



















まだ小さな二人を


ちゃんと里まで送り届けたかったけれど、


そうしていると、きっと・・・・・














間に合わない。



















護符もある、結界もまとっている、



この先にも、里の手前には



数字ちからを有したお方″が住んでいる。










あわよくば・・・


あの子達を見て、気がついてくれたなら・・・・。













二人を抱えて走って来た道を、全速力で走って戻る。















もう、考えるのはやめだ。












やるべき事は、








見たくない今という現実より、











見たくない未来のために今、











僕に出来うること。

















続・・・・・・

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