# 5


封じの儀が終わると、魔の瘴気が一掃いっそうされることで


一時的にではあるが、


自生している野草や植物が豊富に実る。





 ゆえにこの場所へ、普段は近寄ることのない里の人間も、


知らずのうちに迷い込むことがある。






















そして・・・





「あの人は、数字が身体に現れていなかった。」









つまり、魔の物に対峙してはいけない、力の持たぬ普通の人間。












































同じく数字を有する仲間を、





強制的かつ迅速じんそくに呼びだす呪詛じゅそは、





未だ鍛錬たんれんが足りず自分には出来ない・・・。




















魔の物は、





父さんと母さんが決死で闘った最後の一体。





致命傷を与えてはいるが、





はらいきれなかったようでフラフラと揺れながらも





未だ瘴気しょうきを放ち、





消えては現れを繰り返しながら、





少しずつ人の里の方へと向かおうとしている。





















(どうにかしなければ・・・)

















(でもどうすれば・・・?)














(出来る事は・・・)








(やらねばならない事は・・・?)






























頭がうまく働かない











もう考えている時間はないというのに。



































あんなにもたくましく、





まさに無敵のように思えていた、父母が





目の前に倒れ、今や息もえに・・・・























河原には、弟たちがいる・・・・





友人も来るはずだ・・・・・





里の人間も、一人とは限らない・・・・


























力を持たぬ者がもし・・・・








魔の物に対峙してしまったら・・・・・











人の里へ魔の物がたどり着いてしまったら・・・・























〝 黒い瘴気に触れると、


  力を持たぬ人間であればあっという間に


  身体の身体の内側から全身が黒く染まり、


  まるで土のようにボロボロと


  身体が崩れて消滅していく。 ″



































自分一人では、治療を施すにも数に限界がある・・・・





きっと治癒などしきれないほど数の・・・・











あぁ・・・



































忍び寄る重く冷たい感覚に





思考が飲まれそうになる・・・












































けれど















絶対にダメだ。















そんなことには、させてはならない。



















自分は力を持つ者








出来うる限りのことを、手あたり次第やるしかない。








それが自分の役目・・・





















 続・・・

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