あの日の裏話


「………でも実はそれだけじゃなくて……その、、、一度学校に君を見に行っているんだ…

デイヴがいう子がどんな子なのか、見てみたくって…」


これは初めて聞きました。

学校自体は卒業生が先生に挨拶に来たりと、割と出入りは多いので知らない人が来ても特に気にはならないでしょう。特に私はフレッド様のお顔を知らなかったので、もしもすれ違っていたも覚えていないと思います。いえ、こんな綺麗な顔ならば忘れてないかもしれませんが……ただ、それくらいならべつに隠すようなことではないと思います。

何かの用事のついでに見ていくなんてあってもいいことです。もしかして、そんなことが恥ずかしかったのでしょうか?


「そうなのですね。ですが、正直それくらいなら……」


「……そう、、、それくらいなら良かったんだ……でも、、その……僕はそこで君をみてしまって……その……今思えば一目惚れだったんだと思う…………でも僕にはそんな経験なくって、、その……どう関わりを持っていいかも、どう伝えればいいかもわからなかったんだ……」


フレッド様が喋ってることは聞こえてくるけど理解するのには時間がかかりそう…



一目惚れ!??そんなそぶりどこにあった??




「そこからはどうしていいか分からず、でもデイヴがすぐにでも婚約者はできるはずというし………だからとりあえずパーティーの相手だけでもとお願いして………でも話してみたら聞いていたよりもずっと魅力的で………どうにかしなきゃと思ったんだ………

そして、パーティーで身分を明かして、もっと話してもっと知りたいと思った……いや、知って欲しいと思った……でもダンスを踊って…気づいたらもういなかった…

気づいたときには遅かったよ。デイヴに聞いたら帰ったと聞かされ、何かしてしまったんじゃないかと…」


えと………私の婚約者様はなにをおっしゃっているんだろう……これじゃあまるで私に婚約者ができるかもと思ったから焦ったように聞こえる。それに私が帰ったから何かしてしまったんじゃないかと思った?もしかしてだからあんなに翌日謝ってきたの?


「だから、もしなにかしてしまったのなら謝ろうと思った……そして……できるならサリーと結婚したいと思った……でも本当にどうしたらいいのか、今まで考えたことがなくて…正攻法がわからなかった……だからとりあえず外堀を埋めることにしたんだ。まず父親と母親にナシェルカ領の財力について話した。元々問題に上がっていた内容だったから持っていきやすかった。陞爵させるべきだと……その話も上がってはいたけど他の貴族の反対にあってた……だから、、だから、、僕がナシェルカ領に婿養子として入るのを謳い文句にしてはどうかと……そう言ったんだ……」


私の目の前にいるのは本当にあのフレッド様なのでしょうか……なんだか悪いことがばれてしまった子どものようです。

でもあのパーティーの翌日にこんな裏話があったなんて…


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る