お茶がなくなる…
そうして、やはり黙ったまま我が家の前で馬車が止まります。
フレッド様は黙ったまま馬車を降り、私に手を差し出してくれます。
私はその手を取り、馬車をおりますが、この空気はなんだか嫌です…
「あの、フレッド様?お話したくないことはお話されなくても…「サリー、この後部屋に行ってもいい?さっきのことをちゃんと話す」」
少し苦そうな顔をしながらフレッド様が手をギュッと握りそう言います。
「畏まりました。ではお茶の準備をしてお待ちしておりますね」
玄関まで私の手を引いてくれたフレッド様といったん別れ、私は自分の部屋へ、フレッド様はお父様の執務室へ報告へ行くそうです。
私はメイドのアンにお茶の準備をお願いします。
そして椅子に腰掛け、フレッド様を待っていると予想より早くドアをノックする音が聞こえます。
アンがドアを開けるとやはりフレッド様で、アンには席を外してもらいます。
フレッド様は私の隣に腰をかけ、お茶を飲み始めます。
なんだか緊張しているように見えるのは私でしょうか。それともやはりまだ機嫌が悪いのでしょうか。
それでもお話をしたいとおっしゃったのはフレッド様です。私はフレッド様がお話を始めるのを待ち、同じようにお茶に口をつけ待ちます。
…………………そんなにこのカップ大きくありません……お茶がなくなってしまいます……
そんな変などぎまぎを胸の中で抱えていると、なんだかフレッド様のか細い声が聞こえてきます。
「サリー、、、その笑わないで聞いてくれる?」
正直まだ話しを聞いていないので笑うか笑わないかはわかりませんが、とりあえず今の空気では笑えそうにもありません。
「はい。もし面白い話であっても笑わないよう努力致します」
「………面白くはないと思うんだけど、、、その、、僕らが初めてあったのは王誕祭の時だよね。サリーのエスコートをできるようにデイヴに頼んで、そこで出会ったのが初めてだったと思う。でもその前に何度もサリーの話しをデイヴから聞いてた。綺麗な子だけど、領地の特産品に関してとても詳しい。特産品のことを聞くと目を輝かせて話し出すと。そのほかにもご令嬢とは思えないほどの知識があり、マナーも公爵家にも引けを取らないと。」
そう言えば、初めてお会いした時にデイブから聞いてたと言っていましたよね。でも織物のことだけでなく、そんなことも…
「そうですか…デイヴが…」
なんだかデイヴが少し恨めしい気がします。私の知らない人に領地のものに関して目を輝かせて話すだなんて、令嬢としてはあるまじき行為ではないですか…
「そうだから興味を持った…以前そう話したよね。」
「そうですね。伺いました」
このぐらいの内容なら初めて我が家に来て頂いた時の話しと一致する。
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