牛の首(3/3)

  

 怪談話のオチによくある「誰かに怪異を押し付けて自分は助かる」ってオチだと思った人は多いと思う。

 

 しかし、残念ながら後輩は助からなかった。

 

 最初に、確か28日だった、と書いたのは正確な日付が確認出来ないからだ。

 このメッセージのやりとりをした数日後に、後輩は自宅で頭部の無い変死体となって発見された。

 それと同時に、後輩と今まで交わしたメッセージのログ全てが消え去ってしまっていた。

 

 お通夜と葬式には、もちろん参列されてもらった。

 棺の中で眠る遺体には首が無い為、棺の小窓は開かれないままだったが。

 後輩の家族によると、蔵から出て来た時点で後輩の様子は少しおかしくなっていたらしい。

 その家のお孫さんが幼い頃にクレヨンで絵を描いた画用紙を何枚も握りしめ、見つけた見つけたとニコニコしていたという。

 後輩の遺体はどう見ても自殺では無い為、警察による捜査が続いているが、いまだに後輩の頭部は見つかっていない。

 

 

 ちなみに俺の部屋の外から聞こえた、ぽこぽこ、ずるずるって音。

 あれは……、廊下に放置されたプラスチックケースに頭を突っ込んで抜けなくなってしまった飼い猫が、助けを求めて家中を彷徨っている音だった。

 助けるのがもう少し遅かったら階段から変な落ち方をして怪我してたかも知れないので、思い切ってドアを開けて確認してみて良かった。

 

 みんなも変な音が聞こえたら、

 

   ドアを開け

   

          て                  俺を

  

             入

     

           れ

         て 

         く

  

      れ

 

 


 

【了】

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

■■の首【都市伝説】 栖東 蓮治 @sadahito

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説