第13話 手掛かり
「こんなのもあったわよ」
さっきからそう言いながら七草が目につくものを片っ端から俺に渡して来る。
どれを見てもわからないのだが、たまーに見た事があるような物もあったりするので混乱して来た。
見たことのないような物でも、あれこれってどこかで・・・?と思えてくるほどに・・・。
「何がなんなのかまったくわからないんだが・・・」
簡単に言えば俺たちは迷走していたのだった。
多いものは書類なのだが、何を書いているのかが全然わからないのだ。
唯一わかるのが父親の手書きのメモ書きくらいなものだったのでとりあえず分かるものをと思ってそれらを整理してみた。
「神話の事でも調べていたのだろうか?」
思わずそう口に出してしまうほど、神話絡みのようなメモ書きが多かった。
神々との戦い、人類が用意する、人類が滅んでしまう可能性があった等の書き込みが見られた。
その他にも、それに関わる事が多く書いてあるようだったが断片的すぎて理解する事が無理だった。
「父は神話の事については好きではあったけれど・・・ここまで研究していたとは知らなかったわ」
それじゃあ尚更わからないじゃ無いか・・・。
しかしどう考えてもわからない部分は仕方がない、わかる範囲で考えて見る事にする。
まず、神話に関して考えていた事については確定。
次に、人類というキーワードが多く見られる事が判明している。
最後に、人類に関わる何かが絡んでいるという事。
これら全てを考えて見るにわかることは神と人という点で何かが起きてそれに関して調べていたのでないか・という仮説程度。
「これじゃあ、よくある小説とか映画の世界みたいな感じだよな・・・」
よくあるフィクション物の世界を本気で調べようとしたちょっと痛い人みたいな結論ではあるが、それにしても七草の父親程の人がそれを本気で調べるだろうか?そう考えると何か腑に落ちない。
「父がそんな事するかしら?、貴方もよく知ってると思うけど超合理的な人よ。妄想癖はなかったと思うんだけど」
確かに・・・その界隈では考古学者にしては合理的すぎる!と有名な人だった事は覚えている。
そんな人が妄想全開な世界に陥るとは思えない。
可能性が無くは無いが極めて低いだろう。
「そこなんだよな、どう考えてもそうは思えない。ただこれらを仮に本当にあった出来事として考えるにはあまりにも次元が違うし、そもそも神話の類は想像や脚色が多すぎるからな・・・」
事実そうである。
大体の存在という点では同じであっても、国によっては呼び名が違ったりする。
例えばゼウスとオーディンが同一の存在にも関わらず呼び名が違う等だ。
更に年月を経て脚色が多くされていたり、語り継がれる時に湾曲してしまいそのまま更に変な形になってしまった結果全然別物の神様になった・・・なんて事は腐る程あるだろう。
「そうよね・・・どう考えてもそれらを探り当てるなんて無理すぎるし、そもそも神様なんていないでしょう。まぁ否定も出来なければ肯定も出来ないけれど」
それはその通りだと思う。
神様がいる証明は出来ないが、いないという証明だって出来ない。
もし俺たちがいるこの世界が、実は俺たちのよく知るゲームのような世界でいきなりその管理者を名乗る「外」の世界の者が現れて神を名乗られるなんて可能性もあるだろう。
そもそも、神様という定義が不安定なのだ。
ルーティーンや願掛けの極致が神様という存在に値するという事はわかるのだが、その存在そのものを認識する事が出来ない時点で検証も出来ないのだから。
「アンタはどう思うの?、神って本当にいると思う?。あぁ、言葉遊びとかじゃなくて本気で聞いてるのよ」
その質問に対して俺は・・・・。
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