第9話 転機

「仮にだ・・・仮にこう考えると・・・」


俺はある仮説を立てて見た。

それは、設計図そのものがもしも人間を人工的に作ろうとした物だとしたら?そう考えて見た。

とはいえパーツは無理やりこじつければ確かにそう見えるかもしれない程度でどうしても止まってしまう。

それがどういうことなのかも分からないまま、しかし他に仮説とはいえここまでの考えに至れる物はなかった。

それにそもそも、人間を人工的に作るという事が不可能である事くらいは常識として知っている。

だが、それが過去に・・・それこそ今の科学のさらに上をいくような技術があったとしたら・・・そう考えると完全な否定は出来なかったのも事実だ。

色々な仮説が人間にはある。

一つはダーウィン理論、そして宇宙理論ときて現代で最も有力なのが自然発生した生命体の進化系という説。

DNAという物を知れば知るほど、ただの生存本能の一環で人間という形になったという事が分かる。

細胞に記録し、天敵から逃れて生存確率を上げる。

その為に人は交尾をし子孫を増やし、そして生きるための行動を行い続けてきた。

良い悪いではない、人はそうやって人になったのだ。

ただ、今の自分たちを正当化し律する為に法律を作り紙幣を作り・・・そして戦争を行う理由を作る。

何が良くて、何が悪いのかを人が決めて・・・そして神にでもなったつもりで家畜を飼う。

命を奪うことを良しとしないと説きつつも、生きる為に家畜の命を奪う。

矛盾し続ける度にエゴを重ね続けて・・・そしていつかは破綻すると誰もが分かっていても止めることが出来ない負の連鎖を作ってしまった。

取捨選択があるようで無い世界・・・それが今だと言う人もいる。

そして、そんな誰でもわかるような事を今の俺たちよりもはるかに高度な文明を持っていた人類が気づかなかったとは思えない。

気づいていて・・・そして何か手を打ったのではないだろうか・・・?

その成れの果てが今なのではないだろうか?

俺はそういう思考のスパイラルに陥っていった・・・・。


そもそも、人とは何なのか・・・そもそも過去とは何なのか・・・。

答えは出ないのではない、きっと誰もが知っているように当の昔に答えなんてわかりきっているのだ。

過去に何があったのか・・・それを俺は知りたいという気持ちがあり考古学者になったのだが何も得られていない。


「果たして本当にそうなのだろうか?」


思わずつぶやいた・・・過去を知るという事は自分達の力を知る事だとも思う。

そしてそれをどう使ってきたのか・・・それを美談にし更には正当化し続けた記録を見るという事でもあると思う。

いつも思っている・・・世界は何なのか?

そして・・・過去とは?・・・本当の歴史は一体どうなったいるのだろうか?


そう考え続けている内に俺はいつの間にか深い眠りの中にいた。

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